ノスタル爺
鷹山勇次
恋と故郷
生まれたところを遠く離れて
いるはずのない君に出会った
運命 必然 偶然 神様のいたずら
そんな言葉達が心に踊る
君の左手には
まるで生まれた時から
彼女の体の一部だったと言わんばかりのきらめき
俺を絶望へと追いやる
モノを言うはずもない輝きが
あの恋は夢だった。と語りかける。
君との出会いは
誰にも知られずに心だけをあの街へと
思い出はいつもあの海辺の街
人の青春などと言う一時期が
まるで一瞬の出来事のように
悠久の時を越えて流れる大河のほとり。
いつも明るい光に満ちて
古ぼけた建物、錆びついたガードレール、色褪せた看板
目に映るすべてのものが命の輝きを放ち
俺もいつも何かを求めて走っていた。
赤茶けたガード下をくぐり土手を登れば
さえぎる物のない空が広がる。
今でもいるのだろうか
あの線路わきの死角で紫煙を
石垣の落書きはいつも青春と大人のいたちごっこ
誰かが書いた存在の
いつか雨に流されて海へと帰っていく
帰りたいのに帰れない
戻りたいのに方向さえ分からない街
心の中の風景だけが
今
一瞬 一瞬を 切り取ったアルバムをめくる。
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