第30話 えーと…どう説明すればよろしいのでしょうか?

えーと…どう説明すればよろしいのでしょうか?

一言言えるのは『マジ詰んだ』ですわ。

タイガーファング倒すのにスキルだけで無く思いっきり魔法を使ってしまいましたもの、それは誰かしら報告する方がいらっしゃるでしょうね。

仕方ない事ですわ。


魔法については先程少しお話ししましたが、王家に嫁ぎたく無いと言う理由から家族しか知らず、ずっと隠して来ましたから。

でも、正確には王家には入る事は問題無いのです。

元々お母様も王族ですし、何なら王家の血筋で陛下の姪に当たりますから片足突っ込んでますからおかしな事はありませんわ。

姪が王族の養子に入る事もこの国ではおかしな事ではございません。

それならば何故問題なのかと言うと私は王族の嫁…正確には王太子の嫁になる事だけは避けたかったのです。

そうなれば私は必ず後の王妃にされてしまう。

そうなれば王族だけならそこまで今の生活と変わりは有りませんが王妃は違います。

王妃になったしまえば政務に追われ、自由が一切なくなります。

折角転生したのであれば多少やりたい事やって死にたいじゃ無いですか?

しかし、あの王太子の嫁になると言う事は自分の自由を全て放棄しなければ不可能です。

…元婚約者以上にお断りな相手なのですわ…

どうせこの後、嫌でも絡んでくるであろう人物の顔を思い出して気分が悪くなりましたわ。

はあ…嫌になりますわ…

元はと言えば魔法使いが少ない事が問題なのです。

魔法は王家に近ければ高い確率で発現する特殊能力みたいな扱いをされていています。

仮に魔法が一つでも使う事が可能であれば、平民でも貴族の爵位が手に入るくらいこの国では優遇措置されます。

でも平民で魔法が発現される可能性は極めて低く、大抵の魔法使いは貴族出身が多く、平民で発現する人の殆どが貴族の落とし子であります。

実際は違うのですが貴族の中では常識になっています。

因みにスパニッシュ家ではお母様と私の二人だけ魔法が使えます。

まあ、お母様の子供で有れば本来王族なので使えて当然なのですが、私が使えるのは女神ミナーヴァ様のお陰ですわね。 


先程も言いましたが魔法使いが貴族に発現され易いと言うお話をしましたが実際は違います。

では、何故魔法使いがこの国に少ないか本当の理由を言うと、この国は元々ミナーヴァ様を神聖視していた為、信仰心が高く、皆が神を崇め奉って敬っていた為、加護として魔法を与えられました。

その為、他の国と比べると魔法を使える人間が多く居ましたが、近年神を神聖化しない輩が増え、魔法を悪用する輩ばかり出て来てしまった為、怒ったミナーヴァ様が女神の加護である魔法を一部の善良な魂を持つ者のみ与える様に変えてしまった結果、魔法使いが少ない国に変わってしまいました。


ファンタン聖王国という名前なのに神への信仰心が少ないとは何と情け無い事でしょう。

まあ、過去の貴族達の過ちや信仰心の無さを聞いていたので私からすれば自業自得なのですわ。

王家に魔法使いが多いのは単純に善良な魂の持ち主が多いだけなのです。

って、魔法の成り立ちなんかどうでも良いのです!!

今は私の命が最優先なのです!!

どうすればこの危機的状況を回避出来るのか!!

もう多少本音は隠しますが話すしかありませんね…

諦めた私は陛下と王妃に話す事にしました。


「元々私はお母様に良く似ている為、産まれた時から魔力が備わっていました。しかし、余りにも私は強い魔力を持っていた為、他の貴族に悪用されたり、暗殺対象にされたりする事を恐れた両親は私が魔法を使える事を隠すよう言われ、その指示に従いました。王家の一員になると言う事で多少の権力を手にする事が出来たので無闇やたらと悪用されないだろうし、私も学校を飛び級する学力や体術も手に入れたので自分一人でも暗殺者と遭遇しても対処出来ると判断した為、魔法を解禁しました。陛下や王妃殿下にお伝え出来ず申し訳ありませんでした。」


私は陛下と王妃殿下に謝罪して頭を下げた。

本音は隠したけど、大分良い感じにまとめて見ましたわ。

魔法を使えないって言う理由はミナーヴァ様と今世で目立たない為なんて言えない…

『王妃になんかなりたくなーい!王子妃なんかになりたくなーい!』が本音ですが上手く隠せたのではないかと思っています。

これでどうだ?

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