第19話 細マッチョ万歳ですわ!!!

ファンタン聖王国第二王子であるロシナンテ・フォン・ファンタン殿下は陛下と同じ金色の長い髪を後ろに結い、王妃と同じ空の様な美しい蒼の瞳。

近衛騎士団で鍛え上げられた誰もが見紛う美しい筋肉美を持つ美丈夫ですわ。

鍛えられ過ぎず細過ぎず丁度いい魅惑のボディライン。

王家に相応しい武と智を兼ね備えたパーフェクトヒューマン…本当にこんな人間が居るのですわね…

第三王子とはまた違う魅力のある殿方です。

因みに私は第二王子派ですわ。

細マッチョ万歳ですわ!!!


ごほんごほん…私の性癖はさておき何故この場に第二王子殿下がいらっしゃったのでしょうか?

後ろには予定していた憲兵と弁護士はいらっしゃいますが殿下の来客予定は聞いておりません。

私は不思議そうな顔をしてしまいましたが慌ててカーテシーし、殿下に挨拶をする。


「ご機嫌ようロシナンテ殿下。本日はどの様なご用件でしょうか?」


父が挨拶をしてから殿下に伺いましたわ。

まぁ、殿下が来た理由は想像出来ますが…


「愛しいルーティが王家に養子に来ると陛下から聞き迎えに来た。何か文句あるか?」


でしょうねー。

ロシナンテ殿下は昔馴染みで小さい頃から私の事を実の妹の様に可愛がってくださっています。

そして、普段俺様なのに私に対してはいつも優しく接して下さいます。

実の家族から与えて貰えない愛情を沢山私にくださる方です。

本来ならロシナンテ殿下と私は婚約する筈でしたが、親の七光り公爵とゴルダナ夫人の策略にやって馬鹿ボンボンと婚約させられた為、白紙になったのです。

白紙になったにも関わらず私をいつも気にかけてくださり、勉強面や剣術面で稽古を付けて頂いたりしていました。

懐かしい思い出ですわ。


「あの…殿下?娘が養子になったとは本当の事ですか?親の承諾も無しに…ですか?」

「そうですわ!普通養子縁組する場合、事前に手続きを行わなければいけない筈ですわ!」

お父様が動揺しつつ事実を確かめる為、恐る恐る殿下に確認する。

そして、ゴルダナ夫人がお父様に便乗して殿下に訴え出す。

うーん、これって不敬罪にならないのかしら?


「それは申し訳ないとは思うが今回は急を要する事情の為、確認出来ずに済まなかったと思う。しかし、貴殿らには話して居なかったが、養子縁組の話は陛下とルーティの間では既に取り決められており、タイミングが来たら伝えると言う風に話し合いで決まった。故にこのタイミングになったのだ。お二方は反対するのが目に見えて分かっていたからな。ルーティも伝えにくかったのだろう。急になってしまったのも致し方無いと思う。因みにこれは王命だから、貴殿らに拒否権は無いと考えて欲しい。このまま受け入れるのであれば、その代わり支度金は色を付けて出す予定だ。」


ロシナンテ殿下は厳しい口調で二人に説明をしました。

流石の二人も王命には逆らえない様で静かに考え込んでいました。

一瞬だけ静寂な時間が過ぎましたが、それもあっという間に終わりを告げました。


「初めましてロシナンテ王子殿下!!私はクルシュ・スパニッシュと申します!!お会い出来て光栄に存じます!!」


我が家の爆弾兵器 愚妹が爆弾を投下したからです。


はあ…早く終わってくださらないかしら?

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