恋慕 / 叶わぬ賭け ※

そんな問いを投げたのは、君との絆を増やしたかったぼくの心細さのせいなのでしょうね。


もうこうやって、部屋の窓から外を眺めるのは何回目になるだろうか。

眼下には断崖を打つ白の波紋が、紺碧のカンバスに無双の線を描いては、また消える。


……どうかしてるな……


三杯目の紅茶に手を伸ばしながら、自身の不甲斐なさに頭を掻いた。

ノートパソコンには書きかけの小説。

虚しくカーソルが点灯を繰り返している。


……今日は、書けず終いか……


知らずとまたみぎわに目を移すのは、君からの便メールりを待つ儚さからでしょうか。

あの日君に投げた問いの答えは、今頃ボトルメッセージのように、波の上を揺蕩っているのでしょうか。


……それとも……


蒼穹に目をやると、いつのまにやら番いの鴎が、睦まじくランデブーを楽しんでいた。



あぁ、分かっているさ……


叶わぬ賭けでもあるまい。






来たっ……


鼓膜には、潮騒の代わりに鐘の音が響いた。


脳裏に浮かぶのは、

波にあずけたボトルメッセージを拾う君の細い指先。そして……

寄せる波に濡れた紺青プルシアンブルーのハイヒール。



ねぇ君。君は何がほしい?


そう尋ねたのはさ……



蒼空そら碧海うみ

視える景色は違っても、そこには確かに繋がる言葉がある。

瞼をとじたぼくは、それに応えるように文字を並べた。



君と過ごした時間。

これから過ごすであろう時間を。




・・・


イングヴェイ・マルムスティーン

「nacht musik~ナハトムジーク~(夜曲)」

https://youtu.be/pGdOtGxyt3g

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