第88話 マルタ島での歓談?


何時しかジェローム達は とある交易地、補給地でもある南の島にいた

北アフリカと南イタリアの中間点 マルタ島 


マルタ・ストーンという

オレンジ色を帯びた蜂蜜色の石材で作られた海辺の街並み

海辺に佇む堅牢な中世の砦の街 首都ヴァレッタ

乾いた南の地特有の風、空は何処までも深い青


火縄銃、大航海時代、遠い時代には激しい攻防戦も

激しい戦いで荒廃した島に改めて作り直されたのが当時の戦いの主役であった

マルタ騎士団のグランド・マスター ヴァレッタ総長の名が由来


街並みのホテルの傍 路地に出た客席のレストラン 観光客も多い


島の謎めい超古代の時代の次には

古代にはカルタゴのフェニキア人がやって来て

イエルサレムから来たマルタ騎士団の領地、次にはナポレオンの仏蘭西

後の時代には英国領、それから独立の運命を辿るが‥それは後の時代の御話


そこでくつろぎながらの食事

トマトを使った鶏肉と野菜の煮込み 魚やムール貝を使った料理

コーヒー、お茶を嗜む テーブルの上には小さな器のミルクに角砂糖


「マルタ島‥随分と久しぶりですね」ナジムが嬉しそうに微笑む

ナジムの故郷である北アフリカにはとても近い場所


「そうだな」楽しそうにジェロームが笑う

「また、巨石の古代の遺跡巡りもいいとは思いますよ」ナジム

「ゴソ島の近くの透明度の高い 船が宙に浮くような 

あの奇跡のような小島も悪くないな」ジェローム

「ええ、そうですね」ナジム


「おや、ジェローム君じゃないか?」一人の中年の紳士が声をかける

「これは‥ヴァロル男爵」「男爵さま」

「はははっ ヘンリーでいい」ジェロームにそう答える


「…ナポレオンに此処を奪われた 騎士団の方 

そこからの輸入品などの頼まれ事で 此処に来たんだ まあ、半分は観光もある」

ヴァロル男爵 ヘンリーは言う


「で‥二人とも夜会の予定があるが 来ないか?

また、顧客を増やせるぞ」ヴァルル男爵


「いいですね!」ジェローム

「はい」ナジム 立ち上がってズレた丸眼鏡をちょっと直しつつの一言


「で‥当然だが」ヴァロル男爵 ナジムを見つつ 「はい?」ナジム


「ナジム君、ナッシュ君はジェローム君の相手、パーテイには男女同伴」

頬がやや赤い男爵

「へっ?」ナジム

「ドレス、靴、小物などはこちらで用意しよう 何、私からのギフト、贈り物だ」


察しのいいジェロームは営業用スマイルを振りまきながら

「いやあ~そうですか 分かりました コルセットはありますから」

ナジムにつけるコルセットを絞り上げるのがとても嬉しいジェロームであった


「‥‥・」目を大きく見開き またしても丸眼鏡がずれるナジムであった



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る