怪人エモーションの日常～その感情に名前をつけたなら～

6. 趣味

怪人エモーションだ！

人間というのは、やはりよく分からない。

人間の生態を調べる実験は今日も続く。

人間は、趣味をもつ生き物らしい。

また、相手をよく知るために、興味のある人物に趣味を尋ねる者もいるらしい。

暇を持て余した人間が、お金のかからないお手軽な趣味が欲しいと嘆いている姿も目にした。

わざわざ趣味をつくる人間の気が知れないが、“何かを集める”という趣味は興味深い。

物は違えど、同じ種類のものをいくつも集め、それを飾り、眺めるそうだ。

欲しいものは全て手に入れる。これは当然のことだ。

そう、この地球もだ！！

そうだな、怪人エモーションとしては、是非石を集めたい。

公園やグラウンド、河原に落ちている石なんかは魅力的だな。

ん？そんな、そこらへんの石はいらないだと？

もっと真珠やダイヤモンドなど宝石の方が集めたいだろと？

君達人間の“意思”は聞いてないぞ！！

人間は、どうやら磨かれた輝く石がお好みらしいな。

それらを集めたり、プレゼントしたり、自分を着飾ったりするようだ。

石は磨き、同じ形に整えることで価値が上がるのか？

宝石と呼ばれ、宝の石とされるようだな。

人間は皆同じであることが大好きなようだ。

怪人エモーションとしては、同じ形に整えられた石など興味を失う。

わたしは原石が欲しい！

原石は、この世に一つしかない形をしている。だから好きだ。

河原に落ちている石も同じことだ。自然の力でその形になったものだ。

一つとして同じ形をしていない。とても興味深いではないか。

おかしいか？

なら君達は、月の石を何故売る。そして何故買う。

珍しいから欲しいのではないか？

怪人だっておんなじだ。この地球の石が欲しい！！

地球にいることを当たり前だと思うなよ！！

自分達の星だとでも思っているのか！？

今にわたしの星にしてみせよう。

欲しいものは全て手に入れる。そう言っただろう？

何かを集める趣味をもつ人間よ。

そして、磨かれた石が好きな人間よ、それを宝石と呼ぶのか？

教えてくれ！地球という大きな水槽に飼われている愚かな人間よ。

形を統一された宝石を買う。

その感情に名前をつけたなら、それはなんと呼ぶのだろう。