8
次の日。よく眠れた。
起きると俺はなんだかとてもいままでにない力がみなぎっているのを感じた。
覚醒したからなのだろうか?
そういえば、と
自分の歯を確認しようとスマホに自分の歯を映した。
別になんともなっていない。血を飲む必要もないんだもんな。
考えれば吸血鬼(ヴァンパイアといよりまだこっちのほうがしっくり来るので日本語でよんでいる)って定期的に血を飲まないといけないなんて、なんだか弱い生物だな。朝日は浴びられないし。アレはモデルがいるしいろいろな種類がいすぎてどんなものを指しているのかもよくわからない。
そもそも俺は吸血鬼じゃなくてヴァンピール?なんじゃないか?
便宜上の名前だからどうでもいいか。
朝の日をあびてもなんともない。赤い目だから多少眩しく感じるくらいだ。
今日は体が軽い。
ベッドから降りようとジャンプしたら音もなく着地した。体が軽く感じるだけではない、身体能力があきらかにあがっている。
さて、隣の部屋の朝天造であるが、いつもだったらほぼ同じ時間にドアが開く。
が、今日は俺のほうが先みたいだ。おかしいな、2,3分いつもより遅い。ちょっと急がなくては。朝の時間は尊い。
今日は学校の日だ。
リビングに降りていくと、母親の特製ピザトーストが目の前におかれた。トマトソースから自分で作ったもので、焼き立てで出すタイミングは最高。チーズがとろりとこぼれおちそうになるのをおっと、と口に運ぶ。
はふはふいいながら
「はへなは?」
熱々のまましゃべってもさすが母親
「朝天造?調子悪いみたいよ?」
なんと。
と、リビングにふらふらと朝天造が現れた。
「おかーさーん、やっぱ8度超えてるー」
「寝てなさい、学校には連絡入れておくから」
「朝天造、大丈夫かよ」
あきらかに火照った顔してただ立っているのもあやしい感じの朝天造の肩をがっしり掴む。
「んー、だいじょぶぅ…じゃないかも…とりあえず朝ごはんは食べる…」
「食欲はあるのか…じゃあ大丈夫かな?…
俺はもうそろそろいく時間だからいくぞ、大事にな」
家を出る。日差しが眩しいが、苦手なのはもとよりだった。透明なサングラスをかけることもあるが、6月半ばだから曇りや雨の日が多い。梅雨が終わる頃には持ち歩こう。
帰りはばらばらだったが、行きの一人の通学路は高校生にはいって初めて…ではない、中学も一緒だったからもっとひさしぶりだ。
俺も朝天造も赤ん坊の頃は体が弱かったらしいが記憶にないくらいで、物心ついてからは怪我や病気をしたこともなくあまり学校を休んだことはない。
「ちょっとさみしい…かも。というか昨日の今日だし」
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