スイートスイート★マイゴッドシスター
青星円
1
長身、黒い瞳孔に赤い瞳。夜に溶けるような黒いコートを着ている。
コートの内側にはナイフがしこんである。毒を塗ってあるので、自分でも手を切らないようにせねば。
俺は幸せだった。少し前までは。
俺は妹の
「かーっこいいなあ!ジャック!
妹助けに行って大暴れのシーン最高!
最後は後ろから近づいて頭を打つフリして「パン!」だもんな
ボスの野郎絶対くそ漏らしてたよな」
「クソってきったない!兄ぃ!
あれは妹がちゃんとタイミング合わせてるのがすごいのー!」と妹、兄と便宜上読んでいる。実際そうなのだが、兄である俺、犬飼家長男
今年実家のある稲毛の家から坂を降りて5分ほど歩いた、とても近い千葉稲毛県立高校にふたりで入学した。
流石に名字が同じだからか別のクラスにされたが昼休みになると中学校から一緒に入学した他の仲のいい生徒もいないので、一緒に弁当を食っていた。
一緒に弁当を食べる理由があったのだ。家の母は弁当に必ず違う料理を入れるのだ。何が入っててもおいしくバリエーションが多い。とにかく母は料理がうまい。
だからこそ相手の弁当の中身が気になる。だから分けあって食べるために一緒に食べているのだ。
たまに一緒に食べられないこともあって、その日は俺のクラスで帰りの支度をしながら一緒に帰るために先に終わった朝天造が入ってきてお昼ご飯の話をした。
「えー、ホンビヌス貝のクラムチャウダー!?私のところカニ爪コロッケだった…」
「いいじゃねえかどっちもうまそうだろ」
「クラムチャウダー、次いつ入るかな…」
仕方なく一緒に帰ろうかと立ち上がった時
「犬養さんとこって仲良いわね」
長身の女が腕組みしてこっちを見ていた。
別に嫌味とかで言ってるわけではなさそうだった。が、何だか冷たい汗が背中を伝った。
「私はA組の学級委員をしてる中川
手を差し出してくる。朝天造は無邪気に「よろしく!」と先に握手した。
俺も手を出したが琴姿の手は異常なまでに冷たかった。
それから順調に高校生活を楽しみ、友達が出来てお互いのクラスで一緒に友人と机をかこんでを昼の弁当を食べたりもしていたが、犬飼家のふたりはその輪の中に入ってくることが多かった。友達も犬養家の母のお弁当のおいしさに感心したりして、ふたりがわざわざ違うクラスから同席してくるのを納得していた。
俺は、中学の時部活に入っていなかったが、家が近いのもあって部活に入ることにした。「やったことのないスポーツをやる部活」と言うのがあり、俺はかなり運動神経はいいのだが、特に好きなスポーツがないのでこれを気にいり入部した。
しばらくは「インディアカ」という特殊な羽根のついたボールを使用したバレーのような競技をしていた。
「これ、似たような競技ありましたよね」部活の人数は7人で、3年生も先輩風を吹せることもなく、大会に出るのも自由、変に格式張ったこともなく、上下関係は良好に保たれていて、そしてみんな真剣にやっていた。
「そうだね、羽を蹴る競技は多いね」
見ていた2年生が
「名古屋が盛んらしいですよこの競技」と声をかける
プレイしていたふたりが同時に「ここ千葉だしなあ」と言った。
朝天造は部活には入らなかったようだ。その変わり、学校から帰ってくるとほぼ毎日机に向かって本を読んでいるようだった。
あいつ、そんなに本好きだったかな?
理系志望じゃなかったか?俺は文系だが来年から理系とクラス分けがはじまって理系クラスのほうが授業が少しキツい。
まだ大学どこにいこうかとはぼんやりとしか考えていないが、千葉の国立大学のそばで育ったので自動的に千葉大学にいくんじゃないかと思っていた。
まあ読書好きになるきっかけになる本でもあったのかもしれない。
なんにせよ、読書はいいぞ、うん。(そんなに読書しないやつが言っても説得力はない)
そんなことをしている間に6月になっていた。
ゴールデンウィークを挟むし、とにかく春は覚えることが多いし、月日が流れるのは、早い。
季節は梅雨だ。
俺にはありがたい時期だった。
どうも俺は日差しが苦手で日差しの強い日は透明のサングラスをしている。
瞳孔は黒いが瞳の色が茶色ではない、どちらかというと赤だ。そのせいかもしれない。
他の特徴は、元々背が高かったがそういえば高校に入ってからずいぶんまた背が伸びた。
中学の時なんか160cmほどしかなかったのに175まで伸びて、高校に入ってすでに5cmほど伸びて今や180近くある。母親は高校にはいるときにかなり大きめの制服を買った。中学生の時ミシンでなんとかチクチクとやっていたが結局一部買いなおす羽目になったのがくやしかったのか。制服は高いからな……。
入学式には少しあまっていたがこれでもまだ長いのを織り込んで縫ってあるらしい。190になっても大丈夫!入学式の時母親は茶色の瞳で俺を見た。
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