26 雪化粧:Dust Snow
そして現在。
未だケイを殺した犯人は分かってはいない。
だが首謀者は、彼女の開発していたデーモンAIが、一族の権力にとって危険と判断した
或いは、その危険なデーモンAIを用いて何かを企んだか……
いずれにせよ、保身に入り、腐敗していくのであればカドクラは滅びた方が良い。それが
多分に情を差し挟んでいることは自覚しているが、それは
問題なのは、今やこのニュートウキョウ、或いは
特に、乱暴な方法はあまり意味がない。
仮にグラード辺りから古いミサイル基地に残る核弾頭を買い取って撃ち込み、数多の屍と瓦礫を積み上げたところで、この街は比較的あっさりと蘇るだろう。
そういう街だし、そういう国で、カドクラや他の
この支配を破壊するには、根本的なところで、ルールを変える必要がある。
その為に、デーモンAIを完成させたと言っても良い。
ヒトのパーソナリティと
それは
だが、この
粒子センサ・ネットワークの時と同じ、旧世界を覆い塗り替えていく次世代。
人類社会はそうやって変化しつづけてきた。
デーモンAIが生み出しうる可能性を嫌い、
カドクラの支配する古いセンサ・ネットの世界に
その為に作らせた、ケイの脳標本の納められた棺。
ケイの脳標本から生み出された無数の悪魔の種“
だがそれは間違いなく変化をもたらす。それも、劇的な。
開けば
その準備は整った。
流れ落ちた“流星”の正体に気付いた乱入者はすでに排除し、
なにより、最大の懸念だった
「あとは、
「君の意識、存在そのものを破壊して【
引き金が引かれ、
「
マキシが拘束に抗い、叫んだ。
その声よりも速く、黒い影がマキシの横を通り過ぎる。
瞬間、光が交差して、鈍い音が響いた。
極超音速の蒼い弾道が途中でねじ曲がり、背後にあった、巨大な棺のような
見れば
『
「いや咄嗟のことだったからな……しかし、本当によく【
不思議そうに自分の
ドローン【
「……何者だ?」
「いや……そいつはこっちのセリフなンだがね……」
『何言ってるの……彼女、
「
「本物よ……と言っても証明するものはないわね」
「仮に本物なら、なんで撃った? あンた確か、陣笠の旦那の上司だろ……大体なんなンだこの景色、それに旦那のこのザマは」
辺りは【
辺りには最早、もとあった植生の名残は殆どなく、【
『迂闊に仕掛けちゃ駄目よ、
「みたいだな。見た感じ、ただの良いトコのお嬢さんなンだが、どうにも剣呑な気配しかしねえンよ……それに
「聞こえているわよ、
小声で軽口を言っていると、唇を読んだのか、
「おっと、耳もいいンだな」
『
「起こせそうか? 出来ればとっとと連れて逃げたいンだが」
『そこら中に伸びてるのは、
「起こすなら、マキシの嬢ちゃんの方が何ぼか簡単そうだ」
『首の拘束具、リミッターの類みたいね。アレはドローンで破壊できそう』
「よし。一先ず、その線でいっとくか」
「話はついたかしら?」
茫洋とした表情で待っていた
「やってくれ、
朝比奈の言葉を合図に――キィンッ! と特徴的な
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