第17話 腐女子と腐女子 ACT 3
「シマパン……おそろい」
倒れながらスカートをめくり、自分が履いているシマパンを私に見せて
「あ、ストライプの色違い」
な、なんだ、この子?
私のパンツ見て、自分のパンツ見せつけて、おそろい?
確かに今日は私もシマパンだけど、色違いとまで凝視しなくたって。
ちょっと、キッときつい視線を送ると。
「あっ!」と、彼女は顔を伏せて恥ずかしそうに
「欲しいの。私のパンツ。女子高生の脱ぎたてのホカホカパンツ」
スッと手が自分のパンツに伸びている。
ちょ、ちょっと待て!
ここは廊下だ! いや……。そう言う事ではない。
「ちょっと待って。そうじゃなくて」
「はへっ? 何か?」
マジやばい子じゃないの、この子。
「いらなってば、パンツ私ちゃんと履いてるんだから」
「そうですか……。残念です。『園芸部』副部長さん」
すくっと立ち上がり、なまめかしい目で私を見つめる。
「まだ何か?」
「いえ、なんでもありません。先輩」
先輩? あ、靴の色が青だ。という事は1年。
小柄な躰。でも意外と出ているところは出ている。ぱっつん前髪に後ろは一本結びの髪。なんかアンバランスな感じの子だ。
「あ、『園芸部』副部長さん。ぶつかってしまい、すみませんでした。わざとぶつかった訳じゃないことは言っておきます。これは事故です」
「ううん、私の方も考え事してたから良く見てなかったし、怪我してない?」
「怪我……」ピクン!
ああああああああ! ちょっとめまいが。ううううううううっ!!
「私を支えてくださいますか」
「ちょっと大丈夫なの? 保健室連れて行くよ」
「保健室」ピクリと彼女の眉が動く。
「いいんですか? お願いしても」
「ふらついてんでしょ」
「そうです私はふらついています。ふらふら、ゆらゆら」
なんかちょっと胡散臭い。でもほっては、おけないだろう。
「では、まいりますか保健室へ『園芸部』副部長さん」
私の腕にしっかりとしがみ付いて「さぁ行きましょう」と、またなまめかしい目で私に訴えかけた。
「うんもう、保健の先生いてくれるといいんだけど」
「大丈夫です。あそこは私の唯一の休息の場所ですから。邪魔はさせません」
「そ、そうなの……」
保健室の戸を開くと、その部屋には誰もいなかった。
「保健の先生いないみたいだね」
「いいんです」カチャ。
んっ、カチャって、もしかしてカギ閉めたとか?
そして私の手を掴みベッドへその躰を倒した。
「先輩、私、具合が悪いんです。介抱してもらえますか」
「介抱って、このの体勢で、どんな介抱をすればいいの?」
二人の躰はかさなり追う様に密着している。
「このままでもいいんですけど、私の理性が、保てばなんですけど」
ふぅ―ん、そう言う事か。この子もそっちの子なんだ。
「ねぇ、もしかして。あなた私を誘っているの?」
「ハイ誘っています。いけないですか『園芸部』副部長さん」
「あのぉ、さっきから気になっているんだけど、あなた『園芸部』に所属していたっけ?」
「いいえ、私は『園芸部』には入っていませんよ。こうして先輩と話をするのも今日が初めてです」
だよねぇ。こんな子なんて見たことないもの。
「でも私が『園芸部』の副部長だって言う事は知ってるんだ」
「そりゃ、もう知らない人なんていないんじゃないですか? 宮島先生の裏彼女さん」
「裏彼女って?」
「なにをしら切っているんですか、もう1年の女子の間じゃもっぱら噂になっていますよ。『園芸部』部長の
どこでどうすればこういう噂が立つのか?
まったく理解に苦しむ。
「へぇー、そんな噂が広まってんだ」
「知らなかったんですか?」
「知らなかったよ。で、あなたの目的って何なのよ。やっぱり宮島先生絡みなんでしょ」
「ほほぉ、そう来ましたか。直球ですねぇ。でも始めに言っておきますけど、ぶつかったのは本当に偶然なんです。私が仕組んだことじゃないんです。そこんとこ押さえてもらえますか」
「分かったわよ。で、何を望んでいるの? あなたも宮島先生の事が好きなの?」
「いやいや、私は宮島先生に恋愛感情は持っていません。ただ単に素材の情報収集に努めたいだけなんですけど」
「素材の情報収集って?」
「今まで私がずっと宮島先生の事を観察していてあることに気が付いたんです。それは宮島先生は女に興味が薄い。と、言っても森野先輩に関しては別枠なんですけど。で、一つの結論が出たんです」
はっ!、この子何? みかんを観察していたって? で、その結論って何よそれに私は別枠だって言うのはどう言う事なのよ。
じっと私の目を見つめ……。
「うぐっ!」
えっ! 今私キスしてる?
「ぷはぁ―!!」
えええええええ!
「森野先輩の唇物凄く柔らかいですねぇ。そうなんですよ私も実はこっち側何ですよ。私が恋するのは宮島先生じゃなくて森野先輩なんです。宮島先生は単なる素材で興味があるだけなんですから」
そしてまた唇がかさなった。今度は私の口の中に舌が押し込まれてくる。
うぐっ。あ、この子。う、上手いかも。希美とは違うなにかを感じる。
駄目だよ私落とされちゃうかも。キスだけで落とされちゃうの?
ゆっくりと離れる唇。つっと糸が引いていた。
「私は知っているんですよ、森野先輩と上原先輩の関係も。だから私もその関係に混ぜてもらえたら嬉しいかなぁ。あ、でもお二人の関係を引き裂こう何てこれっぽっちも思っていませんからご安心を」
ちょっと待って私……。
訳、分かんないんだけど!!
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