(二)-11

 そもそも署内の報告書に記載が見つからないので、結局比寄組の組長が誰なのか、法子は特定することができなかった。

 監査結果としては、日付の記載ミスや誤字脱字といった些細な問題はあったが、特にことさら不正と言えるような内容はなかった。

 とはいえ、監査自体はその行為によって警察内の綱紀を引き締めるという意味合いもある。だから監査で成果がなくても問題はなかった。

 三日間の仕事を終えた最終日の夕方、捜査一課のオフィスにいる正義に一声別れの挨拶をして法子は川居警察署を後にした。

 本庁に戻り、報告を終えた後、法子は自宅に戻った。そして父に、比寄組の組長の件は「結局わからずじまいよ」とだけ電話で話した。


(続く)

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