(三)-4

 だから最近の僕は、ママのその言葉を聞くと、怒りが沸いてくるのだ。

「そうでないと、私が報われないじゃない、私がかわいそうじゃない。だから、あんたは絶対ピアニストになるの。いいわね」

 そういうとママは布団を頭から被り寝てしまった。しかも着替えもせずに。勝手な人だ。


 昨年にも参加したこのホランド・ピアノコンクールだが、僕は毎年、都道府県大会で入賞できなかった。今となってはできなくても良い気がするが、今年も入賞を目指して練習してきた。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る