第15話 妊婦と犬

 冬めいた、まだ秋風の公園で


 ティッシュが無いと騒ぐ子ら


 過去をたなびく綿雲の


 午後の日差しに泣き笑い


 橋の側溝座り込み


 銀の鱗の大川さ


 鬼の居ぬ間に洗濯と


 よく言ったものだろと


 それでもいつもは居る二人


 居なくなれば悲しけれ


 缶コーヒーは鬼滅缶


 歌ってしまう大声で


 この癖だけは辞められぬ


 奇人変人晩餐会


 在りし日の思い出辿る歌詞達は


 私の為だけあるようで


 愛されて来た日を憂えても


 もう戻らない青春は


 私に会った人達が


 教えてくれた恋心


 恋心をば掌(たなごころ)


 冬来て欲しく無いけれど


 歌えば歌うさ、涙越し


 あなたにまた会えるまで


 続ける永遠(とわ)の愛誓う


 行けども来るな、女衆


 桜は散るのが美しい

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