(二)-14

 あんなに怒るのだから、きっと何か秘密にしておきたい理由があるのだろう。見つかったら明はまた怒るだろうけど、それでも私は明が言う「大事な人」というのを見てみたかった。

 歩いて行くと、駅前に出た。明がゲームセンターに近づくと、中から小林たちが迎えに現れた。そして明を囲み、ゲームセンターの中へと再び入っていった。

 私は道路の反対側からその様子を見ていた。

 すると突然「房恵じゃん!」と声をかけられた。私は驚きのあまり「ヒエッ」と裏返った声を上げてしまった。振り向くとそこには我孫子富士子がいた。同じ小学校からの友達で、今は別クラスで部活も別だったが、ときどき遊びに誘ってくれる仲だった。


(続く)

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