(二)-10

 明は小林たちに肩を組まれて体育館裏の方へ連れて行かれていくところだった。

 私が靴を履き終えて明が連れて行かれた方へ向かうと、明はすでに小林たちに暴行を受けている真っ最中だった。

「なにやってるのよ、あんたたち!」

 私が大声でそう言うと「やべぇ、逃げろ」と小林たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

 逃げていくとき、小林は倒れている明に「いいか、ちゃんと来るんだぞ」と言った。

 場所は恐らく駅前のゲーセンだろう。松崎たちはいつもそこに入り浸っていた。そのため生活指導の先生が放課後にわざわざそこへ見回りに行くほどだった。この時期、テスト期間だから、見回りはなおさら強化されているはずだ。それにもかかわらず、小林たちはゲーセンへ行くのだろうか。まあ大人しく家で勉強する奴らではないことは確かだ。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る