(一)-2
すると八時を過ぎて明が帰ってきた。
そこで私は「どこいっていたのよ」と立ち上がった。
リビングに入ってきた明は「ちょっとね」とだけ答えた。
「心配したんだよ」
「別に心配なんかしなくたって」
「家が隣同士の幼なじみなんだから、心配くらいするよ」
「大事な人に会ってきた」
「大事な人って誰?」
「大事な人だよ」
「彼女でもできたの?」
「そんなんじゃないよ」
「じゃあ、どういうことよ?」
「どうでもいいだろ」
そのぶっきらぼうな言われ方に、私はちょっとカチンときた。だから私は「あっそ。もう帰る。じゃあね」と言い残して、明の家を去った。
(続く)
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