(三)-4
案の定、滝沢はすぐに顔を出した。一応は頭のてっぺんまで水に浸かり、髪が濡れていた。そして顔を出して「温子!」と男性が声を上げた瞬間に、私は滝沢の顔めがけてハンマーを振り下ろした。金槌は顔の中央に当たり、鈍い音がした。滝沢は突然のことにパニックになり、薄氷の穴を広げながら水面でバシャバシャ水しぶきを上げながらもがき始めた。
私はもう一度ハンマーを振り上げて、顔面のおでこの辺りを狙って振り下ろした。今度も鈍い音がした。そしてさらにもう一撃、滝沢に振り下ろした。
滝沢は動かなくなった。そして水に沈んでいった。
私はすぐに滝沢の衣類を鞄に詰め、その場を立ち去った。歩いてきて残してきた雪の上の足あとをかき消しながらホテルへ戻った。
(続く)
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