(二)-15

 私がかつて滝沢の妻だった女性の妹であることは隠していた。姉とはもともと血のつながりのない姉妹だった。だから姉妹の顔かたちは似ても似つかない。もう肉親もいないため、戸籍でも見ない限りそのことはバレることはない。

 また、信用を得るために、滝沢に体も許した。最初のうちは優しかったが、回を重ねるたびに少しずつ暴力的な本性が垣間見えた。そのたびに「乱暴な人は嫌い」と牽制した。幸い、滝沢は私に本気になり始めていたようだった。

 そして、私はこの温泉付きのスキー旅行に誘ったのだった。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る