(二)-13

 私はイギリスに留学中であったので、あの男に会ったことがなかったのだが、とにかく酷かったらしい。私が留学先のイギリスの大学を卒業した際に一時帰国したのだが、そのときにはもう二人の離婚が成立していた。

 そのような状態であったにもかかわらず、姉は私と会ったときには精一杯の笑顔で迎えてくれた。私がイギリスで就職したことを話すと、とても喜んでくれた。

 しかし、私が成田からヒースローに向けて飛び立った頃、自宅に戻った姉は、首を吊って自らの命を絶ってしまったのであった。離婚をしても、姉の精神的な傷は癒えることがなかった。きっと姉は人間としての尊厳を傷つけられ、心が折れてしまったのだと思う。

 私はこの手帳を読み終えて、この男は絶対に許せないと思った。そしていつしか復讐を誓うようになった。


(続く)

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