Mayfly

 夕方、車で橋を渡っていると、フロントガラスに、

 ペチペチ ペチペチ

 と次々に虫がぶつかってきました。


 カゲロウです。


 田舎暮らしなのに、あまり虫が得意では無く、この世で一番苦手なものはセミとトンボという私(羽が透明でカサカサしているのが苦手。)にとっては、カゲロウもダメな系統の虫なので、運転しながらゾワゾワしてきました。

 

 でも、カゲロウの生き様には、ロマンも感じているんですよ。


 成虫になったら数時間しか生きられない。

 口も退化した大人のカゲロウは、相手を見つけ、子孫を残すためだけの一夜を過ごします。

 そこに儚さと同時に「生」に対する情熱のような、逞しさも感じてしまうのです。



 家に帰ってきて、車を止めたら、ワイパーの下のあたりに引っかかっていたカゲロウが、ゆらゆらと飛んで行きました。

 

 ごめんよ。

 彼(彼女)が、無事に宴に戻り、命を繋ぐ事ができますように。

 

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