第11ウマっ!

(ざわざわ)


「なんだよー!この立て札はよー!」


「またあの将軍様はもおー!」


 立て札ばーん!


『この橋を渡るべからず』


 そこにツインテールの頭にサングラスを乗っけたかわいい女の子。ロリポップキャンディーをカコカコ鳴らす女の子が。


「ん?どしたっす?なあ」


「(ん?なんだこの子。でもかわいいなあー)いや、将軍様がまた変な立て札を…」


「そうっすか。ほな、いこかっすなあ」


 そのまま橋をテクテク渡るツインテールの頭にサングラスを乗っけたかわいい女の子。ロリポップキャンディーをカコカコ鳴らす女の子が橋をテクテク渡っているのを見て将軍様登場!


「これ!(なんだこの娘?でもかわいいなあー。は、いかんいかん)そなたは立て札の文字が見えなかったのか!?」


「見たっすなあ」


「それでは何故この橋を渡っておる!?」


「逆に聞くねん。ほな、まず『道交法第12条第1項』は知ってるっすよなあ」


「え?『道交法』?」


「近くに横断歩道がある場合は、横断歩道ではない場所で道路を横断してはあかんよ、ってことっすねん。これを踏まえたうえでやで。『道交法第38条の2』を読んでねっす。そこからは事故があった場合の過失相殺率に大きく関わってくるっすねんな。ここメモっときやっすなあ」


「は、はい…(メモメモ)」


「まあ、簡潔に言うたら『歩道橋は横断歩道と違ってね。利用しなければあかーん!な法的規制はないけれど、特段の事情がない限りそれを利用することを期待されているっすのな』てのが裁判所の考え方やねんっす。お勉強になったかい?」


「は、はい…」


「論破ウマっ!」


「法律の解釈ウマっ!!」


「みんなー!あの子に続け―!!」


☆今日のウマっ!日本の法律は解釈次第!☆


 日本の司法、よーは裁判ね。それぞれお互いの主張をまあ、大概、弁護士を立ててぶつけ合うっすなあ。弁護士によって得意分野も様々で考え方や法の解釈もそれぞれあるねんね。だから大体、『前例』が強いんすな。一回この国の法廷がくだしたジャッジが『前例』っすよ。無敵の人には通じんけどね。




 将軍様、涙ぽろぽろ。


「わしはただ…、『とんち』が好きなだけやったのに…」


「まあまあうまあ。これでも食べるっすねん」


☆本日のウマっ!その二。『トマトの三杯酢』☆


 新鮮なトマトを沸騰してるお湯の中に入れるっすなあ。そしてすぐにかごへ移して冷水に浸すと皮がぺろーんと剥けるっすねんね。そして皮を剥いたトマトを水400cc、お酢400cc、砂糖180グラム、乾燥昆布を一枚であらかじめ用意しておいた三杯酢に半日浸すっよ。ほい、このタッパーの中が完成品だすねんな。


「一緒に食べよ☆将軍様☆」


「うっうっ、(ぱくり)ウマっ!!」


「夏はお酢の季節っすやからねー。っす。なあねん。ははうえさまー、お元気ですかな?」


 ツインテールの頭にサングラスを乗っけたかわいい女の子。ロリポップキャンディーをカコカコ鳴らす女の子の作る『トマトの三杯酢』も『法律知識』も「ウマっ!」

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