夜の百人組手

ある日の夜、眠りに付こうとしていると、腕にチクリとした感覚がして目が覚めた。


跳び起きて電気をつけてみると、黒ずくめの生物が長い脚をなびかせながら布団の下にもぐりこんで行くのが見えた。


ムカデである。


それも、15cmくらいの中~大型のものであった。


Gの方が二倍はマシだったと思った。


すぐさま階段を降り、G用の殺虫剤を手に入れ、再び上って行った。


G用と謳ってはいるが、実はG以外にも効く。


薬箱に使っていたプラスチックのケースの中身をすべて出し、ケースを片手に布団をめくった。


するとムカデが姿を現したので、ケースを上からかぶせ、逃げられないようにした。


ケースの隙間から殺虫剤をふりまき、のたうち回るムカデを観察しながら待つ。


やがて息絶えると、触らないよう外へ追い出した。


腕に噛まれた感触はあったものの、皮膚は貫通していないようだった。


念のため水で洗い流したが、特に何ともなかった。


自分は田舎に住んでいるので、こうした生物を時々目にする。


しかもなぜか寝込みを襲ってくる。


忍者か。


今回はそれらの出来事をまとめた。




VS ムカデ(2体目)


二回目である。


もういい加減にしてほしいと思った。


寝ている最中、腕を這っていくような感触がした。


跳び起きて電気をつけると、またしてもムカデだった。


今度はやや小さめだった。


退治方法は同じなので省略する。




VS Periplaneta fuliginosa(中齢)


Periplaneta fuliginosaとはクロGのことである。


学名で言うとあのグロテスクな見た目が想起されずに済む(気がする)。


夏になると二階が暑くなるので、一階で寝ていた。


すると、左手を這っていく感触がした。


「またか」と思いながら電気をつけると、逃げていくPeriplaneta fuliginosaの姿があった。


ムカデよりは二倍マシとは言ったが、実際に出てくると引く。


しかも触っているのだ。


羽が生えていない中くらいの大きさだったので、中齢だろう。


殺虫剤を手に取り、処分した。


Gは噛むことはないので、Gミ箱行きで問題ない。


自分は死骸はティッシュ越しならつかめるタイプなので、ティッシュにくるんで捨てた。




VS Periplaneta fuliginosa(高齢)


紙袋の中でカサカサ音が鳴っていると思ったら再びPeriplaneta fuliginosaだった。


なぜ立ててある紙袋の中に入っていたかは知らないが、なぜかいた。


しかも既に瀕死だった。


誰かが既に始末した後だったのか、紙袋を登れなくて餓死寸前だったのかは分からない。


袋小路(紙袋だけに)に殺虫剤をお見舞いし、処分した。




VS スズメバチ


まさかハチまで出てくるとは思わなかった。


寝ていると、嫌な重低音が鳴り響いてきた。


電気をつけると、スズメバチだった。


気化熱で冷やす卓上クーラー付近に1匹現れた。


慌てて父を起こし、退治してもらった。


ハチが屋内に入ってきたのを見るの初めてである。


そのため、自分は退治方法を知らなかった。


父は殺虫剤とハエ叩きを持ってきて、退治してくれた。


父に感謝すると、自分は床に就いた。


すると、また耳元で聞き覚えのある重低音が鳴り響いてきた。


電気をつけると、スズメバチだった。


気化熱で冷やす卓上クーラー付近に1匹現れた。


二回戦である。


どちらも、なぜか卓上クーラー現れたので、なにかハチを誘引する要素があるのではと疑うほどだった。


卓上クーラーから発するライトに引き寄せられたのか、実はハチはヘビのように熱を探知できるのか分からないが、とにかく同じような状況だった。


同じ文章をコピペできるほど同じ状況だった。


次は1人で退治できるかと思ったが、ハチの出現は家族にとって問題だと思ったので、一応父に報告し、退治してもらった。


後日、再び現れた時は自分の力で退治した。




番外編


侵入することはないが、家の周りにいる生き物たちを紹介しようと思う。




アシナガバチ


黄色で、足を下げて飛行するので判別しやすい。


父がキャベツを育てているので、屋内にさえ侵入してこなければ、モンシロチョウの幼虫を餌にしてくれる益虫である。


侵入してこなければ。




カワゲラ


カワゲラは、カゲロウの様な生き物で、脱衣所で発見した。


害はないが、交尾していたのが目に付いた。


鼻にも付いた。




ハグロトンボ


近所にめちゃくちゃいる。


無害。




アナグマ


散歩していると、向かいからトコトコ歩いてきた。


危機感がないようで、横を素通りしていった。




ヌートリア


川沿いにたくさんいる、ビーバーの様な見た目のげっ歯類だ。


かわいい見た目とは裏腹に、駆除が必要な外来種である。




ハエトリグモ


かわいい。




ネコ


かわいい。




以上。


カの高音とハチの低音は不快だと思うが、そのように人間は進化してきたのではないかと思う。


カに刺されると伝染病、ハチに刺されると重度のアレルギーとなり、死亡リスクが高まるので、聞き分けられた方が生き残りやすくなる。


しかし、なぜこんなに自分の近くに虫が寄ってくるのだろうか。


虫に好かれるフェロモンでも出ているのだろうか。


虫じゃなくて人間に効くフェロモンを出してほしかった。


最後に、ハチを退治してくれた父、そして殺虫剤の製造元であるアース製薬さんに感謝である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る