場違いで何が悪い?(ホントの無双をお見せしよう)

アナザー

第1話 5人の勇者降臨

ここは、異世界『アルマフィー』。

魔力と呼ばれる粒子が渦巻き、魔法の力が全て。

魔法力の強いものが崇められる世界である。


この世界は大きく分けて5つ国がある。


・豊穣の王国「フーバ」

・商人の王国「アキナ」

・開拓の王国「グランデ」

・大帝国「バンガード」

そして「エルデン」


100年に一度、厄災と呼ばれる魔族侵略がある。

多次元の世界から侵略に来る魔族たち。

その力は強大であり最初の侵略で世界は滅びかけた。

崩壊していく世界で人々は滅びゆく運命を恨んだ。

しかし異世界から召喚された勇者により、世界は再び光を取り戻す事が出来たと言う。

人々は魔族に対抗する力を得る為、力を合わせて異世界から勇者を召喚するようになった。


書物から読み取ると今回で4回目となる異世界召喚。約100年間魔力を魔方陣に注ぎ込み異世界召喚を行う。

今年で前厄災から100年が経つ。

再び世界が脅かされる時が来る。

今ここに、「大帝国・バンガード」にて召喚の儀式が行われようとしていた。



~大帝国・バンガード(大闘技場にて)~


・バンガード国王

「遂に厄災が来る年となった。

伝承に従い、召喚の儀を取り行う。

各王国の巫女よ、ここに!」


大勢の人々が見守る。

約1時間に一度、計5回の召喚魔法。

5人の女性が魔方陣の前に進む。

各国の姫、あるいは選ばれた女性達だ。

彼女達はそれぞれの祈り方で座して待つ。


今、異世界召喚が始まる。



~現代日本~


・「あ~眠い、、、」


俺の名前は「池田 浩二」。

年齢は16歳だ。

一日中ゲーム三昧の日々を過ごしている。

中学で虐めにあう。

それから色々とあって現在は絶賛引き籠り中だ。


虐めに対しての周りの対応は非常にドライ。

どうやら虐められる俺に責任があるらしい。

一体どんな責任なんだ?


虐められるきっかけを知りたいって?

何てことないさ、虐められてる奴を助けただけだ。そしたら次の日からターゲットが俺に切り替わった。


虐めの主犯は金持ちのボンボンだった。

親が政治家らしいが、詳しくは知らん。

名前は「やまもと」だったかな?

詳しくは知らん。

日に日に俺の友達が居なくなり、先生達もあいつの味方になっていった。世の中、権力者が一番偉いってこったな。

お陰で俺は人間不信になった。


高校は行かない事にした。


幸い、両親は俺の気持ちを汲んでくれた。

かなり嬉しかった、、、

中学を卒業後、半年ほど引き籠っていた。


そんな折、、、両親が死んだ。


車対車の交通事故だった。

相手は無免許で飲酒運転の高校生だったらしい。


「やまもと」だった、、、。


あいつらは未成年と言う言葉と親の権力で示談交渉をしてきた。まだ16歳の俺だ、法的にも何の力もない。

すると弁護士とやらが味方に付いた。

だが結局はあいつらの息のかかった奴だった。

難しい単語を並べつつ説明してくる。

中卒の俺に理解できるわけもなく、いつの間にか5000万と言う金で全てが闇に葬られた。


卑しい、悔しいさ。

悔しくておかしくなりそうだった。

でもさ、、、

何よりも世界の仕組みが理解できなかった。

金があれば何でも許されるのか?

考えれば考えるほど、、

憎くて仕方ない。

理解できない。


俺は考えるのをやめた、、、

思考を停止させて数ヶ月間。

何も考えずにゲームだけをした。

ただ飯を買って食って。

息をしていただけだった。

そんな時、妙な光に包まれたんだ。



~大闘技場~


・エミリア

「勇者様、どうかお力をお貸しください。」


魔方陣の真ん中で、美しい女性が祈っている。

身体からはすさまじい魔力が放出され。

ついに、、、


・「ん、、、ここは?」


俺が異世界に召喚された瞬間だった。


・???

「なんだぁ~?池田じゃねぇか?」


聞き覚えのある嫌な声が聞こえる。


・山元

「池田ぁ、てめぇの親のせいで俺が叱られたじゃねぇか。どうしてくれるんだ?ああ?」


何がどうなっている?

あれって「やまもと」だよな?

て言うかここ何処?

いきなりの事で混乱中である。


・山元

「聞いてんのかぁ~?」


・???

「山元様、今はお静かにお願い致します。」


やたらと綺麗なお姉さんが山元を諭す。

状況が把握できん、、、

綺麗なお姉さんのお陰で静かになった山元。

俺の足元には可愛い女の子が息を切らせている。


・「おい、大丈夫か?」


・エミリア

「はぁはぁ、、、、

わ、私はエミリア。

どうか、私達をお救い下さい。」


うん、全然意味が解らん。

誰か説明プリーズ。


・バンガード王

「これで5人の勇者がそろった。

厄災は各国でそれぞれ始まる。

勇者たちよ、、、

巫女と共にこの世界を救うのだ。

勇者の能力値は数時間後に公開される。

楽しみに待っているがよい。」


何が何だか解らんが、おっさんが叫んでる。

よくあんなにデカい声が出るな、、、

ピンマイクでも付けているのか?

てか、勇者とか厄災とか何じゃそりゃ?


・山元

「おい池田ぁ、お前は俺が殺してやりてぇけどスイさんが辞めてくれってお願いするから生かしといてやる。どうせ厄災で死ぬだろうからな!」


汚い笑い声と共に山元が去っていく。

隣にいた綺麗なお姉さんが頭を下げてくれた。

一体何だったんだ?

何であいつが居るんだ?

頼む、誰か俺に説明プリーズ。


俺の足元には息を切らしたエミリアが居る。

お構いなしに闘技場から居なくなる人々。

訳が分からん、、、

仕方がないのでエミリアが落ち着くまでその場で待つことにした。


数分後、、、


・「どうだ?落ち着いたか?」


・エミリア

「ありがとうございます。」


なんとか落ち着きを取り戻したエミリア。


・「悪いんだが説明して貰って良い?

何が何だかよく解らん。」


・エミリア

「急な事で何が何だかですよね。

まずここは『アルマフィー』と言う世界です。

貴方様が居た世界とは異なる次元に存在する国です。まずここまでを理解してください。」


ふむ、頭のおかしい子ならそれで良かったのだが、明らかにこの場所は普通じゃないよな?

山元も居やがったし、、、

さっきの髭おやじが言っていた異世界召喚。

俺の考えが正しいのならば、、、


・「俺は別の世界に連れてこられたって事?」


・エミリア

「その通りです。

この世界はもうすぐ厄災に見舞われます。厄災から私達を守ってくださる方を異世界から召喚いたしました。

それが貴方様です。」


・「成る程、理解した。

髭おやじが後で何か公開すると言ってたな。

つまりそこで詳しい話が聞けるわけだ。」


・エミリア

「その通りでございます。

勇者様は理解力に優れているのですね。」


そんな事は無いがとりあえず話し方を変えて貰おう、なんだか背中がこそばゆい。


・「浩二(こうじ)だ。

あと、話し方も普通にしてくれればいい。

その方が親近感が沸くだろう?」


・エミリア

「しかし、、、」


・「んじゃ口きかない。」


・エミリア

「あぅ、、、こ、こうじ。

そんなこと言わないで。」


ふむ、なかなか順応力があるね。

良い傾向だ。


・「それでよし、よろしくねエミリア。」


俺とエミリアは握手を交わす。

詳しい話はあとで聞けると解ったし、、、

とりあえず俺達も移動するか。


・エミリア

「お腹減ってる?ご飯でも食べに行く?」


凄い敬語だったのに、もう馴染んでおられる。

末恐ろしい子やで。

俺はエミリアに連れられて食事をすます。

そして数時間後、俺達は城の一室に向かった。


・バンガード王

「皆、良く集まってくれた。

まずは礼を言おう。

諸君達を召喚してまで頼みたい事の説明をする。

よく聞いて置くように。」


王の説明は解りやすかった。

非常にシンプルだ。


今から魔族が襲ってきます。

それぞれの国に帰って迎撃してください。

迎撃した後の報酬は何でも叶える。

権力、金、女、何でも与えるとの事。


ん~、解りやすい。


・バンガード王

「以上だ、何か質問はあるか?」


質問するような事があるかな?


・山元

「本当に何でも貰えるのか?

いくつでも良いのか?」


山元が喰い付いている。

報酬に弱そうだもんな、、、


・バンガード王

「無論、不老不死などの不可能なものは無理だ。

だが譲渡できる物なら何でも意のままだ。」


・山元

「じゃあハーレム城をくれ。

後は何もしなくても遊んで暮らせるだけの金だ。他にもあるがまずは女と金だ。」


・バンガード王

「魔族を退けたのなら意のままだ。」


・山元

「マジかよ、テンション上がるぜぇ!」


一人で舞い上がるやまもと、、、

能天気な奴だな。


・バンガード王

「他の者は良いか?

何もなければ能力値を発表する。

その後、国に戻り戦の準備をせよ。」


自己紹介とかないんだな。俺としては机の対面に居るネコミミ美女が気になるのだが。

あ、、、、やまもとが話に言った。

あ、、、、殴られた。

半泣きで戻っていった。

ざまぁみろ。

そして何故俺を睨む?


・バンガード王

「発表だ、よく聞くけ。

豊穣の国「フーバ」サリウス殿

LV25 魔力数 340


商人の国「アキナ」ジーン殿

LV19 魔力数 270


開拓の国「グランデ」エリシャ殿

LV31 魔力数 410


大帝国「バンガード」山元殿

LV1 魔力数 250」


そこで王の発表が止まった。

次は俺だろう?早く教えてくれ。

てか、やまもとの奴LV1って低くねぇ?

ざまぁねぇな。

そんな事を考えていると再び発表が続けられる。


・バンガード王

「「エルデン」池田殿

LV ― AP100

以上だ。」


ちょっとまて、俺のLVはいくつなんだ?


・エミリア

「バンガード国王失礼します。

浩二の魔法力を教えてください。

それにLVはいくつなんですか?」


エミリアが突っ込んでくれた。


・バンガード王

「解らぬ、こんな表示は見たことが無い。

恐らくLV1以下なのだろう。

APに関しては何もわからん。」


・エミリア

「そんな、、、、」


エミリアは放心状態だ。

しかしバンガード王は気にせずに部屋を出て行く。


・山元

「ひゃーっっはっは、池田ぁ!

LV1以下とはお前らしいな。

厄災でさっさと死んじまいなぁ。」


ふむ、非常にムカつく顔してやがる。

LV1がほざくなや!


・エリシャ

「山元だっけ?いちいち突っかかるにゃ。

非常に癇に障る。

あんたもLV1にゃんだから黙ってにゃ。」


ネコミミのお姉さんがカッコいい、、、


・スイ

「バンガード帝国の巫女スイでございます。

山元様はLV1にて魔法力が250です。

恐らくこの中でも一番お強いでしょう。

現状LVが高いだけのお方はお言葉を慎んで下さい。」


とても険悪なムードになる。

もうやめようよ、、、


・コリー

「商人の国「アキナ」の巫女コリーや。

今ここで争っても意味ないやろ?

無理に止めはせんがいい加減大人になりや?

あたいらは先に帰るさかい。

いくで、ジーン。」


そう言ってコリーさん達は出て行った。


・リンネ

「自己紹介ついでに一言。

豊穣の王国「フーバ」の巫女リンネです。

無駄なエネルギー消費はお勧めできませんわ。

厄災に向けて協力すべきと考えます。

では、私達も失礼します。」


続けてリンネさん達も出ていく。

それを睨むようにして見ていたスイさん。

スイさんは悔しそうに出て行った。

山元は急いでスイさんを追うのだが、


・山元

「おい、池田を引いた哀れな奴。

確かエミリアって言ったか?

助けてほしけりゃいつでも言いな。

貴様の身体と引き換えに助けてやるよ。」


などとほざきながら出て行った。

弱い奴ほどよく喋るらしい、、、


・エリシャ

「にゃんて奴だ、汚らわしい。

あんにゃ奴のいう事気にするんじゃにゃいよ?

困った時はあたしに言いに来にゃさい。

あんたも結果がどうあれ男にゃんだからさ、この子を守ってやんにゃよ。」


どうやらエリシャさんは「な」の発音が「にゃ」になるらしい。可愛らしいな、、、

エミリアを優しく抱きしめた後、エリシャさん達は出て行った。そして俺とエミリアは二人だけ取り残された。


・「えっと、エミリア大丈夫か?

俺達も帰ろう。」


エミリアは俺の問いかけに静かに頷く。

それほどまでにショックな結果だったのだろう。

念願の勇者がLV1以下だったら確かにショックだろうな。何だか申し訳ない気持ちが沸いて来た。

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