23話 男に縋る女③

そこにいた彼氏は腹も出ている中年男性だ。ハッキリ言って、カッコいいとは真逆な人物だ。

そしてその彼氏は、まだ若い彩には少々不釣合いな気もする。

が、それはそれだ。


「別に容姿とか関係ないじゃん。人間容姿じゃなくて、中身が大事なんだよ」


そう力説すると、莉奈は「おぉー」と感心していた。

というか、人を見た目で選ばない彩はいい子じゃないか。こんな可愛い容姿をしてるのに、人を中身で判断する。最高じゃないか。

僕には祐希よりも何倍もいい子に見える。


「人間中身が大事なら、彩はかなりクソ人間になるのだけど」


祐希はハイビスカスが差さった、青色の飲み物を飲みながら言った。


「なにそれ? どういうこと?」


僕がそう言うと祐希は少し呆れていた。


「莉奈、多分こういう奴が騙されるんだよ」


「大丈夫。信が騙されたら、あの女共々地獄に送るから」


「やめてよ。オレまで地獄に落とさないでよ」


「私浮気とか嫌いだから、ダメ」


「だからなんで浮気する設定で話進めんだよ……」


祐希はその様子を見て「アハハ」と楽しそうにやりとりを見ていた。


「で、あの女の人はどんな人なの? 騙されるとか言ってたけど」


僕がそう聞くと、祐希はキャバクラで一緒に働いていた時の話をし始めた。

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