君ゆきし、我もゆく

第23話立川の夕暮れ

神奈子は大学入試の追い込みでなかなか会う時間がない。

夏休みを制するものが勝利者だと言う。志望校は慶応大学と言ってる。

我が上等高校から来年は何人東大に合格するか？

去年は18人合格したというが、多い方なんだろうか……。

まあ進学は領域(フィールド)外なので、どうでもいいが。

親父も家のローン払うのが相当キツそう。

お袋は暇さえあれば酒を飲んでる。

実は体裁程度に月に5千円小遣いを貰ってる。

8月半ばにして既に数百円しか残ってない。

ダメ元でお袋に小遣い前借りを交渉したら、1万円札を差し出す。

酔って勘違いしてるのかな。何も言わず受け取る。

よく晴れて空気も乾いてる。

自転車でららぽーとまで来てみたが、今これが絶対必要というものがない。

GUとユニクロで衣類も見るが、引っかかるものなし。

東急ハンズも目新しいものなし。

ニトリも収穫なし。

要は今絶対必要なものがないのだ。

オーディオコンポ代としてこの1万円は貯金するべきだろう。

しかし今日は暑いというより汗が止まらない。

あちこちで、サザンとかビーチボーイズの夏の音楽が流れてる。

立川駅前まで出て、ビッグカメラで物色する。

そういやノートパソコンも壊れかけていて、買い替えなきゃならない。

ノートパソコンは中古でも5、6万するから、オーディオと合わせて30万近くかかる。

ほんとバイトしよう。お金がなきゃ何も始まらない。

夜7時半になった。

ぼちぼち街が眠る。

コンビニでポテトチップスだけ買って家に向かう。

スマホでビリー・アイリッシュの新譜を聴く。

今最先端の音楽である。

夕映えが青と赤を混ぜたように綺麗な模様になってる。

スマホで写真に収める。

今日は木曜か。夜中にTVKでビルボードトップ４０(フォーティ)がやる。

結局ビルボードチャートに頼るしかない。

淋しい音楽事情だ。

2021(R3)8/12(木)