第15話夕暮れのレンタル屋

「文学部ってどういうことすんの?」


庭野昭二は頭を掻きながら小冊子を差し出す。


「そこに大体のことは書いてある。そろそろ授業だな。興味があったら読んでくれ」


庭野は窓際の1番前の自分の席に戻る。


本は読むけど文学は読まないんだよねえ。


小冊子を開こうと思ったら始業のベルが鳴る。





夕方5時半。西国分寺のゲオでアダルトコーナーを物色する。


沖宮ゆずか、神宮寺昭恵、天音かのこ。新しいAV女優みたいだけどどの子も可愛いな。しかし次から次へと有望な新人が出てきますな。


今年から堂々とAVが見れるのは喜ばしいことだ。


10代前半くらいから親父がAVライブラリーを見せてくれていくらでも貸してくれた。


「溜め込むのは体に悪い。健康のためだ。いくらでも持ってけ」


親父のAVライブラリーは500枚くらいあった。有名どころのAV 女優は大体抑えてる。


親父から借りてばかりだった自分がこうしてアダルトコーナーに入って色んなAVを選べることの恍惚感は得がたいものだ。


レンタルDVD 屋のアダルトコーナーは毎日入れ替わってる。


定期的に覗いてるが、確かに毎度知らないタイトルだらけだ。


サブスクのせいでレンタル屋はヤバイのは誰が考えても分かること。


しかしレンタル屋は無くならないでほしい。


自分もサブスクを利用してるが、レンタル屋の存在は大きい。


なんだかんだで6時半になっていた。




帰り道で自分は今何に一生懸命になればいいのか考えた。


この失われた1年を取り戻す。


とにかく勉強して高校四年生としてちゃんと卒業する。


親や神奈子にもっと報いないと。


体力も付けんと。大学は行くつもりないので、力仕事に就くことになりそうだしな。


とはいえ勉強は苦手やなあ。


揺れる。


揺れる。


覚悟は揺れる。


2021(R3)7/4(日)

















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る