第10話Make My Day

中間テストの結果が張り出される。


1位 桐蔭一馬

2位 不知火瑠璃

3位 東郷院龍平


今回かなりの接戦だったようだ。


桐蔭は12科目1170点と余裕の首席だが、2位の不知火瑠璃は2年A組のトップ10の常連の秀才で、女子バレー部のエースだ。


不知火は12科目1030点。東郷院は1028点。五宮フレイユは1025点で4位に甘んじた。


桐蔭の牙城は崩せなくても、不知火と東郷院に負けたのは痛い所。


俺は98人中79番か……。少しは勉強したからな。


そういや今日学校で神奈子とすれ違う。


ちょっと気まずい。




立川のBOOK OFF のアダルトコーナーでAV女優の美乳に見惚れてたら、仁科望美子が俺の手許を覗く。


「なんだよ、近いよ」


「景川はこういう巨乳が好きなんだ」


「関係ないじゃん」


「あたしのもデカイよ」


仁科は不敵な笑みを浮かべる。


どうやって逃げるかね。




五宮フレイユは自室で鏡台を覗き込む。


「4位か、私も落ちぶれたな」


上からシンセサイザーの音が響いてくる。


妹のカレンは今日機嫌がいいようだ。


「化粧でもして街に繰り出すか……」


フレイユはすっぴんでも充分な美しさを誇ってる。17歳である。当然だ。


それでも少し化粧をする。


彼女の美しさをより強調する軽いメイクだ。




立川駅前に出て、ヤマダ電機の前で、東郷院龍平を見かける。


深緑のジャケットを着てる。誰かを待ってるようだ。


やがて現れた女性は意外な人物であった。



2021(R3)6/7(月)

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