#21 龍と飛竜、そして管理者の責務
「まずは一番でかいのから片しますか」
―――そういえば最近独り言が増えたなぁ。
なんてくだらないことを考えながら森の中心に向かう。そこには体長8メートルほどの
「グァアア!!」
僕はもう何度目かの突撃を飛んでよけた。まさか自分のように飛ぶと思ってなかったのか一瞬動きが止まったがすぐに攻撃してきた。ただ、空中戦には慣れていないのか、地上で戦っていたときよりもスキが多い。これならすぐに終わるな。
「時間もあんまりないし、そろそろ終わりにしようか」
その瞬間、僕から濃密な殺気があふれ出す。それを真正面から受けたそいつは言葉通りしっぽを巻いて逃げようとする。だが、それはできない。というか、させない。僕を嬲り殺そうとしたんだ。あいつにもそうされる覚悟があって攻撃してきたのだろう。そもそも、そんなことをして生けとし生きるものを殺めるなんてこの世界では許されない。この世界には管理者がいて運命を操作できるのだ。命を弄ぶなんて神にすら許されない禁忌中の禁忌である。それを犯したのだ。世界の管理者として罰するべきだろう。
「ということで、そなたに死を言い渡す。その行い、来世にてしかと反省せよ」
その言葉とともにはるか上空から白い光の柱が降ってきた。辺りが白一色に染め上げられる。次に視界が戻ってきた時にはそこに
今回の騒動の原因がいなくなったことで森は元の平穏を取り戻そうとしている。だが、今回の混乱から完全に戻るには多くの時間を必要とするだろう。人間の勝手な都合でこうなってしまったのだからあの
「森の様子もだいぶ落ち着いたし、そろそろ戻りますか」
混乱はしばらく続くだろうが、もうスタンピードに発展することはないだろう。僕は白い翼を出してこの場を後にする。放置してしまったレナたちを探しながら。
―――*―――*―――
レナたちは森へ行く前と同じところに待機していた。戻ってくると何やら騒がしくなっていたので近くにいたラーシャ達に話しかける。
「ただいま」
「あっ、アオイさん。おかえりなさい」
「おかえり、アオイ。どこ行ってたのよ。アンタが急にいなくなったから、こっちは軽い混乱状態に陥ったわよ。その後光柱が降ってきたりしたから、余計混乱しているけどね」
この騒ぎは僕のせいだったらしい。
「それは悪いことをしたな。でも、あの時は時間がなかったから。それに、説明したらいろいろと言われそうだったしね。それで、レナはどこにいるの?」
「レナなら王女様方と馬車の中にいるわよ」
「王女様?」
「あんた、まさかシャルロッテ様のことも知らないの?あたしたちが今いる場所を治めているブルシーク王国の第二王女よ。最近15歳のお披露目があって話題になってる人なんだから」
「一緒に乗っておられるのはボルトン公爵の三女のミリアンヌ様です。ミリアンヌ様もシャルロッテ様と同い年でお披露目の際に双姫として有名になりました」
さっき話した彼女、今まで出会った中でも一番か二番に入るほどの美少女だったけど王女様だったのか。さっき鑑定までしたのに全く気付いていなかった。というか、レナって王女とためを張るほどの美少女だったのか。まあ、ラーシャもザーシャもそれに劣らずの美少女なのだけれども。こう思うと僕の周り美少女だらけだな。別に意図して出会ったわけではないんだけど・・・
「んじゃ、自分で説明しにいくかな」
「行ってらっしゃい」
僕はザーシャ、ラーシャに伝言を頼んで馬車へと向かう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます