第260話 みんなのたたかい4
全員が休んだ。
示し合わせたように。
いえ、示し合わせたのだ。
彼ら彼女らは示し合わせて欠席した。
これは、クラスの児童の総意なのだ。
もっと言えば、その後ろに控える彼らの父母の、保護者の総意とも言えるのだ。
私は、なんとみじめな担任なのだろう。この状態になって、やっと重い腰を上げ無ければならないと自覚させられた。これは本来、私のすべきことだったのに。教育者なんて大仰な看板をかけて毎日向き合っていた児童に私は実のところ教育してもらっていた。それが、白日の元にさらされたのだ。
いま、目の前の誰もいない六年一組の教室の教壇に立ち、誰もいない教室の、無言で抗議を続ける主がいない机を見ながら、遅ればせながら私は、彼らの、彼女らからのバトンを受け取った。
後は、私が引き取る。これからは、私にしか出来ない仕事だ。絶対に彼らの無言の抗議を無駄にはしない。
「ごめんなさい、みんな。先生はやるよ、絶対、佐藤さんをこのクラスに戻して見せる」
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