第240話 卒業式

あなたの卒業式であなたの名前の順番でね……

先生はね。泣いたんですって……


誰も返事のない名前を読んだときに、自分の無力さで……


もしも、ここで返事が出来るようにしていたら、どんなに楽しい一年だったかって……

毎日会ってても、日々成長するあなたを感じて、本当ならもっと大きく成長できていたはずだって……


そう考えたら、涙が止まらなくなったんだって……


本当は……

言うべきだったんじゃないかって……


……あなたに、学校に来るべきだって……


毎日会っていたにも関わらず、あなたを学校に戻せなかった悲しみと、あなたをみんなと一緒に晴れがましい席に置いてあげられなった後悔で、名前を呼ぶ前に込み上げてきて、しばらく立ち尽くしてようやく絞り出すように呼んだ名前に何の反応も無くて……


ただ、空いた席だけが自分に向けて無言の抗議をしていたように感じたんだって……


どうして……僕の学校に行けない理由が分からないのって?


そういう風に……

先生には感じたらしいわ……


随分と後になって、あなたの学校にこれなった理由を知った時、先生は天を仰いでいたわ。


そして、後悔を口にしていた。


もっと、寄り添うべきだったと……

何故、それが出来なかったんだって……


それで、最後の今年……

周りの反対を押し切ったの……

絶対に彼なら僕の真意をくみ取ってくれるって……


あなたの事は、あなたのお店のオーナーから細かく聞いていたみたいよ。ずっと長い間……

それで、意を決して3月にあなたに会いに行ったの。

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