第227話 愛するって……
俺は好きと言う意味を悪く考え過ぎていたのかもしれない。
ありふれている好き、ありふれていない特別な好き。
その違いに気が付かないで、一方的に好きを受け付けなかったのかもしれない。
特急の窓越しに手を振るレイアさんは俺を好きだといってくれた。
それは、俺を好きと言ってくれる人がいなくなり、好きに餓えていた俺には特別だったことは間違いがなく、でも、彼女には特別な好きでは無かったのだろう。
深度……
好きの深さが決定的に違っていたんだ。
俺のレイアさんを好きな気持ちと……大人の余裕な好きを持つレイアさんとの好きの深度が違っていた。
その深度の差を埋めるために、レイアさんは俺を誘ったんだ。
少しでも、俺のレイアさんへの想いを埋めるために、俺のレイアさんへの想いを諦めさせるために……
それは、きっと、レイアさんなりの別れの挨拶だったのだろう。
今は……そう思う様にしている。
それを経験出来ただけでも、俺は東京に来たかいがあった。
いずれ、もっと深い、好きを……
その上、ずっとずっと恋焦がれる様な好きを……
“愛してる“を経験してみたくなった。
いい笑顔の美人が俺だけの為に手を振ってくれて、時折涙を指で拭う。
ありがとう……
レイアさん……
そして……
さようなら……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます