第227話 愛するって……

俺は好きと言う意味を悪く考え過ぎていたのかもしれない。

ありふれている好き、ありふれていない特別な好き。


その違いに気が付かないで、一方的に好きを受け付けなかったのかもしれない。

特急の窓越しに手を振るレイアさんは俺を好きだといってくれた。


それは、俺を好きと言ってくれる人がいなくなり、好きに餓えていた俺には特別だったことは間違いがなく、でも、彼女には特別な好きでは無かったのだろう。


深度……


好きの深さが決定的に違っていたんだ。

俺のレイアさんを好きな気持ちと……大人の余裕な好きを持つレイアさんとの好きの深度が違っていた。


その深度の差を埋めるために、レイアさんは俺を誘ったんだ。

少しでも、俺のレイアさんへの想いを埋めるために、俺のレイアさんへの想いを諦めさせるために……


それは、きっと、レイアさんなりの別れの挨拶だったのだろう。


今は……そう思う様にしている。


それを経験出来ただけでも、俺は東京に来たかいがあった。

いずれ、もっと深い、好きを……


その上、ずっとずっと恋焦がれる様な好きを……


“愛してる“を経験してみたくなった。


いい笑顔の美人が俺だけの為に手を振ってくれて、時折涙を指で拭う。


ありがとう……


レイアさん……


そして……

さようなら……

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