第151話 美少女自慢
「凄いね。おじさん。当たりよ。私は大人っぽいから、一発であてた人は少ないの。びっくりしたよ」
私は、おじさんの能力を称賛してみた。
「そうかい、おじさんはね、十年ちょっと前に目が見えなくなってね。途中失明って奴なんだけどね。小さな時から見えない人よりも大人になって見えなくなった人は苦労するんだよ。それでも、ようやくかな、街中で道が交差しているとか、ここはどのあたりだとか、そこの空気を感じるんだけどね。後は音とか、店の中の音楽、店の人の声、そんなもんで判断するんだよ。十年以上ここに住んでるから、この辺りなら何とかかな。買い物位とかね。でも、初めての場所はテンでダメだね。」
「そうなんだ、おじさんは何で見えなくなったの?」
けんたろーがやめろと、顔で、表情で、私に無言の圧力を加えてきた。
「良いよ。気にしないで」
おじさんは言う。どういう事?
「何ですか? おじさん」
「ほら、お兄さんが聞くなって言ってるでしょう? だから、良いよって。気にしないでって言ったんだ」
微笑みながら、おじさんは、私の方を見て、……ちょっと違うか、微妙に目線外れているけど、耳がこっちを向いている感じかな……そう言うと、
「不思議でしょ? 意外とわかるんだよ。その人の微妙な息遣いとか、服のすれる音、その人の相手にしている人の動きで、目が見えなくてもね。わかっちゃうんだよ」
「すご~い、超能力だね。アハハ」
おじさんは私の超能力発言に喜んでくれた。そして、
「おじさんは病気でね、だんだん見えなくなって、今は明かりくらいは分かるけど、もう、それ以外はぜんぜんだね」
「そうなんだ、私の顔もわからないって事? 近くに行けば見えるの?」
「近くに行って、見えるようになるのは近視だね。眼鏡で矯正が効かないんだよ。そういうことなんだよ」
「そう、それは残念ね。私、可愛いって評判なのに」
冗談でもかまそうかと、このなんとなく下がった空気を換えたくて、私は自分でも思っているけど冗談めかして言った。
「そうか~、それは是非とも見たかったな。ハハハハハ」
やった!笑ってくれた。
あー、けんたろー気持ちいいのか?目瞑って動かなくなった。寝てる?っていうか何で私ここで、けんたろーの寝顔見てなきゃいけないんだっけ?
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