第46話 リリィさんの夢4
いや、まだ、確定しているわけじゃない。クイズの様に軽い感じで聞き返した。
「え? だって、昼間、ここで釣りしているんだから、答えは二つしかないじゃない。一つは仕事をしていない。もう一つは夜の仕事。それで、私は仕事しているかなんて知らないけど、聞いたの。そしたら接客業って言ったでしょう。つまりは、仕事はしている。そして、夜の仕事。私はそう推測したわ」
こえ~、この子。浮気とか絶対会話だけで言い当ててくるタイプになりそうだ。“そう、繋がったわ。“的な。
「夜の接客業か~。学校に8時に通うんだから、必然的に近くよね。この辺りだと……」
もうやめて~!!この子、当てそうで怖い。
「……佐藤君は自分に恥じていない?」
まっすぐな目で俺を見つめている。風が少し出てきたのか、麦わら帽子から出ているリリィさんの栗色の髪の毛がなびいている。
ああ、気付いたな。俺はリリィさんのさっきまでの表情とは明らかに違う視線からそう受け取った。それならば、俺も子供扱いをやめて真剣にリリィさんに向き合おう。
「ああ、全く無いね。理由は自分の行いに自信があるから、自分に嘘をついていないから」
「……そう、なら、いいわ。そういうの大切よね。
でも、大変そうね、色々と、佐藤君の仕事場は」
大人だよな……優しく微笑んだリリィさんは、それ以上、その話をする事は無かった。
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