亡命王子は星を導く~運命の婚約者と祝福された結婚~
和田モエコ
第一部 タルール【幼馴染編】
プロローグ
冬の夜空に浮かぶ月は、どこか遠い。
遠くの恒星からの反射光は、
この星の夜空をあまねく照らしている。
熱帯の緑深きタルール、寒帯の雪深きジーラント。
……そしてここ、温暖になるよう守られたエアデーン。
土地ごとの風景は全く異なるけれど、
星のどこにいても
見える月のかたちは同じ……。
遠くジーラント帝国にいるアレクシスを照らしているのと同じ月が、リゼットを照らしている。
アレクシスとの婚約を破棄し、結婚相手を探しているリゼットを……。
***
「……ット、リゼット! ねぇ、貴女聞いていて?」
「……は、はい! いえ、あの……。すみません、聞いてませんでした」
王都エアデーリャのとある夜会で、窓の外に浮かぶ月を眺めていたリゼットは、素直に謝った。
リゼットはもうすぐ十八才になる。
古代種とも呼ばれるグレーンフィーン家の、特殊な
「亡命王子」と呼ばれているアレクシスとの婚約関係は、解消されていた。
……みんな知らない。
知らないんだわ。
どれだけ彼が私を愛してくれているか……。
この星の皆のために、
──私と結ばれるために、
どれだけ頑張ってくれているか……。
リゼットは、アレクシスと初めて出会った幼い日のことを、思い出していた……。
***
この物語の会話文では、複数の言語(伝達方法)が登場します。
以下の鍵括弧の種類で表しています。
「」:エアデーン王国語
『』:ジーラント帝国語
〈〉:思念通話(通信)
《》:特殊能力
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます