第8話 夏休み突入


「ん〜〜」


「おはよう」

「おはよぉ〜」


 ん?今誰かに挨拶された?

 声がした方を向けばそこには葵がいた。


 今日から夏休み。

 俺は思う存分寝ていた。

 携帯で時刻を確認。9時を少しすぎていた。


 そして俺の部屋に葵は朝から普通にいた。

 ショートパンツにTシャツというなんともラフな格好で。

 まぁいるだろうとは思っていたけど朝起きたらもう居るとは思わんだろ。

 初日からこれか。

 先がおもいやられる。


「おばさん仕事行ったよ〜」

「そうか」


 母親よ。

 昔からの付き合いとはいえ、留守番を葵に任せるか普通。


「とりあえず着替えるから部屋出ていってくれ」

「はーい」


 着替え終わりリビングに行くと朝ごはんが用意されていた。

「母さん作っていくれたのか」

「いや、私だよ?」

 それは失礼。

「サンキュ」

「お構いなく〜。お昼はそうめんね」

 もう昼のメニュー決まってるのね。

 そしてあなたが作るのね。

 今に始まったことじゃないから今更か。


 朝とお昼を葵が作り食べ終え今は午後の3時

 葵お昼寝である。

 しかも俺のベットで。

 こいつもこいつで呑気だよなぁ〜。人のこと言えないけど。

 俺は夏休みの宿題に取り掛かっていた。

 めんどくさいことはさっさと済ませておく。

 ある程度進んだところでスマホがなった。

 どうやら恭弥からLINEが来たらしい。


『同棲はどうだ?』


 こいつ。

 既読付けちまったし。

 仕方ない。既読スルーと行くか。


 2分後


『既読スルーか〜。そうかそうか。確信つかれて返す言葉もないか〜』


 煽り100%の返信が来た。


『ブロックします』

『やめてくれ〜』

『お前だって角積さんといるんだろ』

『そりゃいるけど毎日では無いからな〜』


 俺だって毎日いられるのはしんどいわ


『あ、そうそう祭りの日だけどさ』


 あ、本題はこっちだったのね。

 そこから祭りの予定について話し合った。


 もう宿題を進める気にはなれず背伸びしていると後ろに重いのがのしかかってきた。


「誰とLINEしてたの〜」

「恭弥だよ。祭りの日の話し」

 重いし、背中に当たってるんだよ。


「ほんとう〜か〜。かわいい幼なじみがいるのに浮気してるんじゃないだろうなぁ〜」

「お前は彼女か。てか浮気してたら一日中お前の相手できないだろ」

「あ、それもそうか。ずっとここにいれば浮気なんて出来ないね」

「そもそも浮気なのか?」

「浮気でしょ〜。こんなに身の回りの事してくれる子なかなかいないぞ〜」

「その分俺も世話してるんだけどなぁ〜」


 背中から柔らかい感触が離れた。

 助かった。それもつかの間。

 葵は俺の横に座り顔を覗き込んできた。


「な、なんだよ」

「私いつ翔馬にお世話された?」

「いや、そりゃ〜...。今みたいに部屋で昼寝してる時とかさ...。」

 だんだん声が小さくなっていった。

「......。」

「いつもお世話になっております」

 負けた。俺別に何もしてないや。

 振り回されてはいるけどさ。

「そうだよね〜。翔馬は私に感謝するべきだよね〜」

 嫌な予感がする。

「翔馬は私のお願い聞くべきだよねー」

「お、俺に出来ることならなんなりと」

「じゃあ明日は朝から買い物ね」

 俺に拒否権はなかった。

 かくして明日は荷物持ちとなった。

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