母娘丼は蜜の味
3-1
とりあえず、うるさい目覚まし機能をOFFにすると夏美を呼ぶ。
「おい夏美! 早く起こしやがれ!」
なぜか全く反応がない。
それどころか新しい設定とか攻略対象が思い浮かぶ。
36歳に恋してるとか、ばっかじゃねぇの?
「完全にババァじゃねぇか!」
普通に考えたら好意を持ってくれてる同じ年の
とりあえず、めっちゃ寒いのでエアコンON。
部屋を見渡せば、一樹の時とも勇気のときとも違う部屋だった。
一般向けのゲーム機は、あるみたいだが……それ以外はCDと、なんだかよく分からない雑誌が本棚に収まっている程度。
それも、そのはず。
今の俺は、
眠ったら、ちあきか江藤さんルートの再開だと思っていただけに予想外だった。
友人、知人、親の顔までがまたしてもぼやけていた。
そういや、一樹の父親に関しては会う事すらできなかったせいか全く思い出せない。
というよりも、相場勇気の時みたいに、今の俺は水無護って人間以外の何ものでもないような気がしてならない。
どうなっちまってるのかさっぱり分からないが、少なくとも夏美が起こしてくれるだろう。
それまでの間――新しいヒロインのルートを進めておくしかあるまい。
護ってヤツの日課を、なぞるとすると制服に着替えて階段を下り。リビングに行って朝の挨拶得をしたら深雪を起こしに行くって順番になってるみたいだ。
ババァを優先するのはどうかと思うがヒロインの部屋に行って起こすってイベントは美味しそうだ。
寝起きが悪いみたいだし寝ている間に着替えを手伝ってやるってのも楽しそうだしな!
リビングに行き、おはようございますと言うと、おはよう護君と声をかけられる。
声の感じは若々しいが見た目は――って!
誰だよ36歳はババァとかぬかしたかしたヤツ!
ぶん殴ってやるから出てきやがれ!
化粧でごまかしてはいるが……20台……それも前半くらいにしか見えない!
背もあまり高い方じゃないし、むしろ高校の制服着てたらこの人が深雪なんじゃないかと勘違いするレベルじゃねぇか。
茶髪に栗色の瞳。小さな顔は美人というより可愛らしいと言った方がしっくりくる。
花柄のエプロン姿もよく似合っていて、まるで新妻って感じだ。
恋に落ちるってこんな感じなのかもしれない。
キッチンに向かい――後ろから、そっと抱きしめて愛をささやく。
「好きです
「んも~。朝っぱらからなに? 冗談はやめなさい護君」
言葉の上では軽くかわされるが、逃がすつもりはない。
少し強めに抱きしめて、「今の俺がどうなってるか分かりますね?」と聞く。
いくら幼く見えても一児の母である。
男性の変化が分からないはずがない。
「ねぇ、ちょっと、どうしちゃったの? 護君?」
困惑されているが押し切る!
「今朝の春子さんが、あまりにも可愛いので我慢できなくなりました」
軽く頬にキスをする。
「こうでもしなきゃ本気だって分かってもらえないですよね?」
「あらあら。本当に本気なのね?」
「はい! 本気の本気です!」
「じゃぁ、お返ししないとね」
抱きしめる力を緩めると――予想通りに春子さんも俺の頬に軽くキスをしてくれた。
「本当なら今ここでスッキリさせてあげたいところだけど、時間もないし。続きは今夜でいいわよね?」
「はい。約束してくれるのなら」
「うふふ。後で冗談だとか言ったらとうぶんの間、ご飯ぬきにするわよ!」
「冗談で、こんなことするはずないじゃないですか」
「うふふ。それも、そうよね。じゃぁ、深雪おこしてきてもらってもいいかしら?」
「はい。起こしてきます」
下半身はテントを張ったままなので歩きにくいがしかたがない。
だが、考え方次第では、先に娘の方を、いただくというのもアリな気がしてきた。
ノックもなしで深雪の部屋に入ると寒気がした。
部屋が寒いだけじゃない!
なんか死体みたいなのがいたのだ!
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