第17話17
明人は、佐々木の意図に気付き、適当な事を言ってなんとか止めようとした。
「先生!あの!」
しかし…
その横から、恒輝が腕を出して明人の右膝を触りそれを止めた。
「…」
明人は無言でハッと目を見開き、恒輝の方を見た。
「先生…」
そう言いかけ、恒輝が無表情で静かに立ち上がった。
「佐々木先生…俺、相手になります…」
恒輝は、真っ直ぐ佐々木を見て告げた。
「よし!西島。来い!」
佐々木は、余裕有り気に微笑む。
「に…西島君!」
逆に焦った明人は、普段の冷静さを忘れた。
佐々木は、上級段位を持ってるだけでない。
アルファだけの柔道の大会でも何度も優勝経験さえある。
佐々木の狙いは分かっている。
大勢の生徒の、そして、明人の眼前で、恒輝と佐々木のアルファとしての力の差を見せつけるつもりなのだ。
「に…西島君!西島君!」
明人は本当に心配で心配で、呼び掛けた
。
こうやって心配してる事自体が、佐々木の方が有利だと考えてる自体が、恒輝の番としては失格かもしれないが…
恒輝は、恒輝自身がフェロモンを出せない体だからと信用してくれないが…
やはり恒輝は、明人のただ一人の運命の番。
「西島君!」
再度心底心配で、思わず声が出た。
だが、恒輝は、一度も明人を見ないまま
、佐々木のすでに待つ道場の中央に出た
。
明人は、ここで恒輝と佐々木の間に入って強引に止めさせたかった。
しかし…それは…
明人が無言で、恒輝は、佐々木には絶対勝てないと言うサインを恒輝に送る事になる。
いつも、頭の回転が早く決断の早い明人が、どうしたらいいか躊躇い、戸惑った
。
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