第12話、立花拳墜2
◆◇◆
現在、花子の家。
「……シャワー、ありがとうございます」
「おう!」「むーっ!」
拳墜は花子のワイシャツを着て、リビングの状況に戸惑う。
「えっと……なにをしてるんですか?」
「?」
花子の膝の中に雲雀(?)が捕まっていた。
「やだやだー! 女の子ころすのー! こーろーしーたーいー!!」
「ひっ!?」
拳墜はその場に膝を折る。膝がガクガクと震えて、瞳孔と口が固まる――――雲雀の視線が刺さったゆえだ。
「このガキ口調なのにマジもんの殺意撒き散らしてんだから不思議だよ」
「私の殺意で意識失ってない花ちゃん先生に言われたくないよー!」
「はいはい、それで――――お前の正体はなんだ」
単刀直入、一発勝負。まさしく花子らしい行動と言えるだろう。
「私は私、まあ気軽に雲雀の姉ちゃんとでも呼んでくれたまえよ花ちゃん先生やい」
「……つまりお前は、二重人格、というわけか」
「へっ!?」
拳墜は驚きの声を上げる。二重人格、世の中に存在すると知っていても目にするのは始めたなのだろう。
「およっ!? 凄いねえ、そこまで辿り着くんだぁ……」
雲雀姉は顔を上にあげ、花子の瞳を覗き込む。
「ふふ、気持ち悪っ……なーんにも見えないねえ」
「……?」
花子は不思議そうな顔を浮かべるも、それはすぐさま驚愕の顔に変わる。
「もーいもーんだ。バイバイ花ちゃん先生、拳墜ちゃんっ♪ わあアンモニア臭ヒロイン爆誕だぁっ、主人公は勿論ひばりっ」
ケラケラと笑うと雲雀姉は窓から部屋を出て、そのまま空へジャンプした。
「なっ!? ここ12階だぞ!?」
花子はベランダから下を見る。だがそこに雲雀姉の姿は無かった。
「……明らかに、人間の範疇を越えてやがるな。はは、なんだありゃ」
そう呟く花子を、雲雀の殺意でまだ尿道が緩んだ拳墜は眺めるしかなかった……。
◆◇◆
深夜。情報屋のバーにて。
「おじさーん、いるー?」
「おう、いるぞ。あと緊急依頼だ、フェアリー、コイツら倒せ」
オッサンは頭に銃を突きつけられていた。
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