第45話 稲妻の如く、そして——。4/5
だがしかし、その前にアディには一つだけ
「それで——……実際問題、これからどうする。雷撃に対応されて決め手に欠けるが」
前方後方と
無限に再生し、修復して襲い掛かってきているように見えるスライムの人型の首を取った所で、敵が
そして、イミトという
「問題ねぇよ。好きな女の話でもして時間を
けれど、思い切って敵を前にして尋ねたその問いに、返ってきた答えは期待外れの物だった。
「舐めるなと——言っている‼」
それどころか、また更に怒りに火をくべる言動によって勢いを増すアーティー・ブランドの攻撃。加速度的に触手の数が増加する猛攻に離れて動いていたイミトとアディの二人は
「……出入り口を抑えられた。また空気を
しかしながら、アディはまだイミトに期待をしている。空気が薄くなっていく感覚の中で
対するイミトもまた——、
「聖騎士ってのはモテそうだよな。特に、アディ・クライドって言えば女の子たちに
心内にある余裕は
それは明確な根拠ある
「……まったく、君という男は。でもそうだな……恥ずかしながら、
答えは明白——前者であろう。戦士の
「少なくないって表現が遠回りで嫌味たらしくて素敵な事で。お前、女にモテない気持ち悪い男から嫌われるタイプだろ」
「君にも
そしてイミトの返事を耳で聞き、肌で動きと気配を感じ取って
「はは——そりゃ、俺も女にモテない男だろって言ってんのかよ、最高だな、おい」
その意気に呼応するようにイミトも槍の
「先程からの口振り、君をモテる男というには——
「俺に惚れる女は頭がオカシイって言いたくなるからか‼ 正解だよ‼」
「理解が早いな、ははは‼ 君とは良い友人になれそうだ」
「くそったれな事に、そいつぁ無理な話だろ‼」
「こ、こいつら……‼」
徐々に——徐々に、勢いを増していくのはコチラも同じ。むしろ
「しかし、お互い……
「かっ、ロマンチストかよ。初恋を運命の相手と勘違いする
しかしながら一転、敵を圧倒しつつも、ふとアディ・クライドの表情が
「——……私は、私はあの人に笑っていて欲しいだけなんだ。ただ、それだけで……他に何も求めていない……あの人を笑顔に出来るなら、私に出来る事は全て
「……」
今は遠くの想い人についての
そして彼は彼が口にすべきではない、その名を口にする。
「——
「——なっ⁉」
アディ・クライドは実に驚いた事だろう。突如としてイミトの口から飛び出た名前に、スライムを切り裂きつつ、耳を疑った様子で首を音のした方へ振り返らせたのだから。
「……これも何かの巡り合わせだ。一つ、アドバイスしてやるよ、アディ・クライド」
作業中に思わず立ち止まってしまったアディの埋め合わせをするように、動きの激しさを増させたイミト。彼は少し考えた後に、
「クソみたいな綺麗事を垂れ流してないで——ちゃんと、相手を求めてやれ。別に
「わわわ、私は別に、そのような
聞く者次第で、その
実際、それを聞いたアディは剣の
「何が不純だ馬鹿野郎。一緒に街に買い物に行きたいとか、セックスがしたいとか、一緒にお弁当持ってピクニックに行きたいとか、セックスがしたいとか、色んな景色や世界の中で一緒に生きていきたい、子供を作って家族になりたいと思う事の何が不純だ」
アディ・クライドの分まで槍をスライムに突き刺し、振り回し、武器が巻き起こす風圧で大量のスライムを飛び散らさせて言葉も吐き続けるのである。
毒かも知れぬと知っていて
「——
「……」
「求めてばっかのクソ共が、求めて与えての物々交換で考えやがって——‼」
「人の心や感情が、切り売り
「丸々一個、
「
魔力を
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