第20話 腐れ縁

 「こっちの準備はOKだ。そっちはどうだ。」

 「大丈夫ですわ。先程、部屋から、さとる君を救出致しました。口や手、足をガムテープで縛りあげられている状態で、荷物を入れられる長椅子の中におりましたわ。酷い状態ですの。すぐに手術をおこなうそうですわ。」

 「了解だ。青葉はどうだ?」

 沈黙の後、

 「お前、本当に大丈夫なのかよ。」

 「あら、ご心配ですの?大丈夫なはずですわ。あなたは私の彼氏ですわよ。瞳子を心配なされるとは、心変わりなさったのではないでしょうね。」

 「最初から、お前の彼氏でも無ければ友達でもねぇ。お前とはただの腐れ縁だ。だいたい、朔、いきなり俺を拉致したあげくに、こういう状況って、紫織に弱味でも握られてるのかよ。助けに行った方が早くねえか。」

 「それでは、意味がないですわ。この時間を作って下さったのは、瞳子ですのに。」

 恐ろしい事をさらりと言う。

 「俺は、ぜってー、金輪際、お前とは絡まない。あいつも、絡ませない。」

 通話の向こうで、大きな溜息が聞こえる。

 「青葉、諦めなよ。紫織は、正常な神経ではないけれど、今回はそれで、さとる君も、瞳子ちゃんも助かるんだから。」

 「・・・あれで、助かるって言うのか?」

 「多分ね。」

 「楽しみですわね。」

 男性二人、やっぱり、こいつとは、関わりあいになりたくない、そう思うのだ。


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