冬の潦

  冬の潦



冬の

にはたづみ

こほるでもなく かはくでもなく

水際みぎははねつとりとしめり 

水底みなそこに赤く細かな堆積

草の朽葉が交る。

やはらかくしづまり

底から上に連なる

酸化水素は透明に

ひやりと澄渡すみわたる。

表面に

はつかに

一滴

きたつた

別の

液の

薄膜はくまく

ひろごおほ

虹を鎔かし

その色のうちに

コバルトを

一瞬

認めたやうにも思はれる。

鈍色にびいろの雲を映して

雲はかず 水もあゆかず

冬の潦。







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