季節は行きつ戻りつ

  季節は行きつ戻りつ



季節は行きつ戻りつ


卯の花もさかりを越し氣味に

いよいよ初夏はつなつに手がかかつたと思つた所


思ひがけず

したたか冷えわたつた今朝


さてもさても白斗文しろだもです


何と云ふても 破れ傘の閉ぢ傘


さうして いよいよ

鼠色に靑ざめてゐる


全く

ぺらぺらと靑ざめてゐる

あまつさたしかに震へてもゐる


傘を開けぬ事情はなかなかに察すれど


さてさて

郁子むべの傘よりもよつぽど靑ざめてゐるらしい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る