第51話 信之の覚悟

「死ね!ピエロ!!」


神示はとてつもない速さで信之に迫る!


(…ッ!今までの敵とは比べ物にならない速さだ!)


神示のAGIは信之の倍近くあるため、信之は神示の速さに動揺する。


「ほら!吹っ飛びなよッ!」


神示は信之の腹部を殴る。


「…ぐっ!!」


何とか腹部を防御できた信之だが、高い攻撃力に踏ん張りきれずに吹き飛ぶ。


「はーっはっは!!どうだいピエロ!?僕が最強だとわかったかなぁ!?」


神示は笑いながら吹き飛んだ信之を追う。


「…その程度で最強とは片腹痛いなッ!」


信之は、追ってきた神示に死刻を振るう。


「そんなもの効かないよ!魔装召喚!」


神示はサーベル型の剣を召喚し死刻を防ごうとするが、


「…なっ!?ぐぅ!!」


信之の死刻が神示のサーベルを斬り、神示の胸に横一文字の傷をつける!


「くぅ!い、痛い!ヒー…!」


「敵が目の前にいるのに回復か?させるわけないだろう!」


神示が回復をしようとしたところを信之は、侍のスキルである飛燕を使用する。

高速で二連撃放つ刀技である。


「…ちぃ!」


非常に高いAGIを生かし、何とか横に避ける神示。


「甘いな!」


避けた場所が自身の射程内という事を確認し、信之は間髪入れずに蹴りを放つ!


「ぐはっ…!」


信之の蹴りが神示の腹部にクリーンヒットし、神示は議事堂の壁を壊して外まで吹き飛び、受け身を取る。


「くそっ、くそっ!許さないぃ!!この僕に楯突くなんてッ!絶対に殺してやる!!フライ!」


神示は激昂し、フライを発動して空へと浮かぶ。


「この日本は…この世界は僕のものだッ!それを邪魔するものはすべて消えてしまえ!サンダーブレード!」


神示は怒り狂って、雷属性中位のサンダーブレードを議事堂に向けて放つ!


「やばいっ…議事堂の人たちが!」


サンダーブレード中位魔法であるため、マジックブレイクでは打ち消すことができず、平静を失う信之。


「マジックウォール!」


「っ!イリスか!?」


「うん!議事堂の人たちは任せて!」


信之は後ろを見るとおかめの仮面をしたイリスを見つける。

イリスは議事堂の上空にマジックウォールを展開し、落下するサンダーブレードを防ぐ。


「…邪魔をするなぁああああ!」


神示はイリスの方に向かおうとするが


「行かせるわけないだろ!」


信之は纏翼を使用し、神示の目の前に現れ進行を止める。


「ちッ!まずは貴様からだ!ピエロッ!」


神示は信之に迫る!


「AGIの高さは脅威だが、見え見えだな!月光!」


信之はまっすぐ向かってくる神示に月光を放つ。月光は月のように弧を描く刀技だ。


「はっ!届いていないよ!…なっ!ぎゃあぁああ!」


月光の効果はそれだけでなく、刀で斬った方向に斬属性の光が放たれる!

光を受けた神示は胸から顔にかけてノの字の大きな傷を負う。


「ぐ…何故!?何故だぁああ!?速さは僕の方が圧倒的に上だ!なのに何故僕がこんなにも押されている!?…ぐぁっ!」


ステータス上では勝っている神示は納得がいかず信之に疑問を呈すが、信之は無視して死刻を振るい神示にダメージを負わせる。


「ぐぅ!ちょ、調子に乗るなぁ!サイクロン!」


範囲魔法のサイクロンを使用して距離を取る神示。


「僕はこんなところで終っていい人間じゃない!試作品の魔銃をベースとした魔導兵器も造っている!お前達さえ倒せば世界はッ…!」


「…その魔導兵器とやらで歯向かう人を殺すんだろ?」


「当たり前だろう!?僕に従わない者は殺すと言ったはずだ!」


話しながら神示はヒールで回復する。


「お前は危険すぎる…。やるしか…ないか。」


信之は覚悟を決めた。


「やるしかない?これは滑稽だ!君は殺す覚悟もなくここに来ていたのかい!?」


ある程度回復した神示は、信之を嘲笑しながらサーベルを再度召喚して襲い掛かる。


「ストーンシールド。」


信之はストーンシールで防ごうとする。


「その程度の防御魔法が通用するはずないだろう!」


神示はサーベルをストーンシールドに向かって突き刺す。

突き刺されたストーンシールドはあっけなく崩れ、サーベルは信之を貫いていた。


「ははは…はーっはっは!!やったぞ!ついにピエロをやったぞ!」


信之を串刺しにした神示は、強敵を屠ったことに歓天する。


​───────グサッ…


神示は自身の体に衝撃を感じて、下を向き体を確認する。


「…え…?」


胸が刀で貫かれていることに気付く神示。


「纏幻というスキルがあってな。お前が突き刺したのはコピーであって俺じゃない。」


信之はストーンシールド発動後に纏幻を使用して自分コピーを作った。自身は瞬間移動で別の場所に移動し、神示が油断したところを背中から心臓を貫いた。


「い、いやだ…。死にたく…ない…。」


「…ッ!自分勝手に人を殺しておきながら都合の良いことを…!!クリムゾンフレア!」


最後まで身勝手な神示に激怒した信之は、クリムゾンフレアを使用する。


深紅の小さな球体が神示に触れた途端、球体は大きく膨張し神示を飲み込む。

この球体は超高温となっており神示を炭すら残さなかった…。





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