ラジオ・イズ・ダイイング
ロンドンつくね
第1話 つづきからはじめるすこしまえ
「シガラキ君、来週オーディションというか面談あるんだけど来れる?」
ラジオ局のロビーで声をかけてきたのはシガラキが担当する番組のプロデューサー堺さんだ。
「番組前なら基本的に大丈夫ですよ。何人ですか?」
「12人なんだけどごめん、もうオーディション始めちゃってるんだよね。ごめんねチーフD呼ばずに始めちゃって。」
今回のオーディションというのは現在放送中の夕方の生放送番組の女性パーソナリティーがご懐妊で番組を卒業するにあたり、次の女性パーソナリティーを決めるオーディションだ。
こういう場合は現場には一応次の候補がいるか聞かれるものの、ラジオ局側でだいたい勝手に集めてオーディションを始める。
そういうもんなので誰がいいという意見は出さずに、こういうタイプの人がいいとだけ伝えてある。
「そうなんですね。じゃあ次に参加できるタイミングで立ち会いますので日程決まったら教えてください」
「そうするねー。この後リストも送っておく」
そう言って堺Pは自分のデスクに戻っていく。
数十分後、堺Pからリストが届く。
「え。もう半分終わってるじゃん。まぁ、オーディションに立ち会っても俺の意見が通るわけでもないし、ま、いっか」
オーディションのリストと共にそれぞれのタレントのプロフィールが添付されている。一通り目を通した。
「おはようございます。あ、オーディションの資料ですか?みせてくださいよー」
声をかけてきたのはシガラキの部下の飯塚。
「来週オーディション立ち会うんだけど、もう半分終わってるんだとさ。」
「まーそんなもんっスよね。結局お偉いさんのお友達の事務所からねじ込まれがちだしー、お。この人タイプっス」
「その人は元地方局の局アナで地元の球団の選手に手を出して辞めたらしいよ」
「そういうタイプですかー。身辺調査早いっすねー」
「まーね。検索してすぐにネガティブな事が見つかるようじゃヤバいしね。これも仕事よ」
もちろんネットの評判を鵜呑みにするつもりはないし、話を聞いたら魅力的な人かもしれない。会ってみてからだな。
翌日、オーディションの日程が届いた。
来週月曜日の11時から。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます