第28話 ファイナル・カウント・ダウン
ある格言では、『害虫を一匹見たら数百匹はいるものと思え』―――というのがありますが、度々魔界を襲い来るラプラスを『害虫』に例えた事で“
「(今の一言で『上手いことを言った』と言う顔になれるとは……。)」(イタイ目)
「(ある意味幸せですよね~~~★)」(アワレミの目)
「(~てより、私の事『りゅうきち』って呼ぶなってえ!)」(白い目)
「(ウフッ……ウフフフフフ)」(魚が死んだような目)
「―――てえ?!あんたら、そーゆー目で私を見るなぁあ!特にクローディア!死んだ魚のような目で、表情も死んだような顔で、私に微笑みかけんなあああ!」
「いえいえ、私はそれでもエニグマ様の思召しには従うつもりですよ~~~」
「しかしーーーですな、意外にもクシナダとか言う者の外にも、シェラザードに対抗できる者が出て来ようとは。」
「それよりも……待って?一体エニグマって何者なの?」
「心当たりならありますよ―――」
「心当たり……?」
「かつて私達はPTを組み、数々のクエストを解いてきました。 【赫キ衣の戦士】【森の癒し手】【千殺】【黒キ魔女】……そして【鬼道巫女】。」
「まさか……クシナダが?!」
「可能性としては無くはありません、何よりクシナダさんは、ある折にラプラスの一人であるニュクスの手に堕ち、存在毎取り込まれた経緯があるのですから。」
「そう言えばニュクスの存在性も、ここの処観測されなくなりましたな。」
「では―――魂を同一化させたとでも?」
「そんな有り得ない……『漫画』のような出来事が実際起こってしまったのでしょう、そしてクシナダさんがされた事と同じ様に、今度はラプラスの一人であるクローディアに狙いを定めた……と言うのも、ある意味では
仲間であり味方であるはずの者達より意趣に反したモノを受け取ってしまい、精神的なダメージを負わされてしまったシェラザードは半分ココロが折れかけているようですが、やはりここで気になったのは、『
その存在の一つの見解をササラは述べてみたのです、その一つの見解こそが、以前ラプラスの脅威として魔界を侵略してきた【夜の世界を統べし女王】―――ニュクスによって囚われ、その存在
その後、『彼女』の中の闇の部分が一気に爆発し、かつて自分を取り込んだニュクスをも取り込み返した……
そう、そこにはもう―――『クシナダ』なる存在も『ニュクス』なる存在も、在りはしない…
その『どちらでもない者』―――『誰でもない者』―――『エニグマ』こそが彼女達の定義となったのです。
* * * * * * * * * *
閑話休題―――だとて、シェラザードが皆からのツベタイ視線に晒されたからとて、ラプラスからの侵略は止むことはない……
「もおぉぉ~~
「(……というより、完全なとばっちりの様な気もしないでもないが―――)だがまあ良いか、これ以上奴らに情けをかけ思うがままの蹂躙を赦す事こそ罪!そして獣人の子よ、天使本来の力を見るがいい! ≪
「さぁすがはウリエル様☆ 私の様に詠唱を必要とせず、即座に
「(なんだかもう~遠慮が無くなってきちゃってる―――と言うか…)けれどもうこのまま看過すわけにはいかないと言うのは自明の理と言うものよね。 ≪我が権能の源たる霧露乾坤網よ 我が意により顕現せよ≫――≪水禍大瀑布≫」
しかしながら魔界側もやられ放しと言うわけにも行かない―――とし、各々が持てる力の限りを解放させたのです。
【
【“地”の熾天使】ウリエルによる『
【黒キ魔女】ササラによる『
【“水”の神仙】竜吉公主による巨大な水柱を竜に見立てた『水圧殺の神仙術』
と、これまで苦戦していたのが“
またこうして動揺を隠すことが出来ず浮足立った時こそ、崩れ去る時は非常に脆くなる…これまでにもシェラザード達が相手にしてきたどのラプラス共よりも手強い者達が【
けれどこれで終わりではない、いや
『どうやら、予定通り掃討殲滅が出来たようでなによりですかな、しかしまあここまでは“オレ”の読み通りです。』
{ここまでは―――とはどう言う意味じゃ、ベサリウスよ。}
「そんなことは言わなくたって判っているでしょうに、公主サン、どうして主上があんたんとこの異能に目を付けたのか……そう言う事なんですよ、つまり
「『その為のツール』って割には、なんかえっらい“ちんまり”としてるよねえ?」
「(!)いえ―――見かけだけで判断してはいけませんよ……これには凄まじいまでの魔力が凝縮して内包されています。」
{太乙め……相も変わらず
「公主様でさえそれ程の評価を……しかしこのツールでラプラス共の世界に跳べたとしても、あちら側に詳しい者など……」
「そこのご心配ならばご無用です、その『案内役』を買って出る為、エニグマ様よりこの地へと遣わされたのです。」
一体なぜ、元ラプラスの『司祭』であったクローディアなる者がシェラザード達の
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