第7話 絶対に“笑って”も、“呆れて”も、“つまんで”もイケナイ空間

“少女”のなりをした【黒キ魔女】の、不気味で可愛らしい笑いあの笑いがまた復活した―――

は“上弦”、口は“下弦”を型取りながら、不気味で可愛らしい笑いあの笑いが鼓膜に木霊する……けれどそれは彼女達が―――『グリマー』【黒キ魔女】【夜の世界を統べし女王】―――と、【大悪魔ディアブロ】が誰に知れる事もなく計画し、その計画は深く……静かに進行しつつあったからなのです。

けれどいずれは必要となってくるモノがある、だからそこの処の援助を魔王カルブンクルス現政権に頼るべきだと竜吉公主は意見したのですが……


〖昂魔〗からの支援が約束されている……そう捉えていいのかしら。」

「はいっ―――けれどこの支援も、最初までは……と言う事です、あとは他からの援助を要請するつもりでした。」(ムヒ☆)

「そうだったの―――それじゃ私は……」

「なぁ~にシケたこと言ってんのよ、『支援してあげる』って言いたかったから、わざわざ私を見つけに来たんじゃないの?」

「そう言う……つもりじゃ―――」

「全く……煮えッ切らない態度だなあ―――まあ、あんた公主様自身立場有る身分だから、言い難いってことはあるだろうけどさあ……」


“いつも”のような―――潔い決断はなく、どこかとどった……鈍らせた返事をする者がいました。

それをシェラザードは、アンジェリカ竜吉公主が立場有る身分だと認識していたからなのでしたが、そこをシェラザードは―――……


「よおぅし―――判った、ならあんたんとこの『上の人』と話しを着けようじゃない。」

「(―――は?)はあああ~~~???い……いや、ちょっと何を口走ってんの?? この私……、『』―――って……」

「『女媧』様のことでしねえ?」(ムヒ?)

「ササラは知ってんの?」

「まあ―――“”まででしけど……直接お会いした事はありませんでしかねえ?」(ムヒ)

「けど……アンジェリカの―――って、明らかに拒絶反応よねぇ……」

「あっ―――当たり前でしょう?例え眷属とは言え、そうおいそれとは……」

「でわあ~~この私がジィルガの名代みょうだいとして申請いたしませう~~。」(ムヒヒヒヒ…)


こ・の“偽少女ガキィ”~その反応笑い―――明らかに知ってんじゃないのよぉ~~!私達の“おさ”がどんな状態になっているか―――って事をぉ~~!参ったなあ……本来なら、なるべく他には知られたくはなかったんだけれど―――そこを『ジィルガの名代それ』を出されちゃうと断り辛くなるのを判ってて…



またも『不気味で可愛らしい笑いあの笑い』を使われ、また『ジィルガの名代一つの派閥の“長”の名』を使われ、むにまれない状況に追い込まれてしまった竜吉公主。

それに彼女は、自分が所属している派閥の“おさ”が、現在どんな状態であるのかを知っていただけに他派閥の者達に合わせる事を極力避けていたのです。


なのに―――……


「ねえ……最初に言っておいてあげるけど、呉々も失礼のないようにね―――」(←結局断り切れなかった人)

わぁかってるってえ~。 私こう見えても王女だったんだよ?王国は……もう……無くなっちゃったケドネ……。」(しょぼくれん)

「シェラに改めてそんな事を言わせるなんて―――」

「サイッテーですネッ★」(ムヒヒ)


今これから自分達が会うのは、一つの派閥の“おさ”である者―――だからこそ失礼のないように……と促せただけだったのに、なぜか雰囲気くうきは悪い方向に、しかもあおって来る2人のうちの1人は明らかに事の真相を知っている―――と言うにも拘わらず、煽ってきた事に対し口には出さずとも心の底では『この偽少女ガキィ~いつか覚えていなさいよ』―――と、思っていたかどうかはさておくとして……


〖聖霊〗の“おさ”が鎮座ちんざしているという部屋の扉が開かれた時―――


「女媧―――失礼いたします……。 実はこの度あなた様にお目通りを―――と願うお客人がまかり越しているのですが……。」


            {よいよい―――構わんぞよ}


「(……ん?)なんだ?この“ちみっこい”の……」


            ―――ひょいっ―――


「ぬ゛あ゛―――っ!ワレをつまむなッ!こんの不心得者がっ!!」


             ――ずビシ―☆


「う゛がっ?!目が~~目があぁ~~~!!」(のたうち)


「(えっ……ナニ?このコント―――)」

「(プークックック(笑)、いけませんよ(笑)、クシナダさん(笑笑)、ここは神聖なる空間―――『笑ってはイケナイ』し、『呆れてもイケナイ』し、してや“つまむ”など(笑笑笑))」

「(だぁ~から言ったのにぃ……『失礼のないように』―――って……。)」


三柱みつはしら”の一柱ひとはしらの“怒り”にれた行為をしたため、『目つぶしサミング』をモロに喰らってしまい、現在悶絶中の元・王女様―――そう、この魔界を支える三つもの柱の一つが、現在こんなになってちび化してしまっている…しかもその大きさたるや『親指大』であり、可愛さはあっても、威厳も権威もどこにもない……とくれば、他の派閥の者達からは『舐められる』と思ってしまっているからか、なるべくならこの事実は知られたくはなかったのです。


それに―――……


「公主よ……そちはちゃんと伝えたのか?」

「えっ? あっ、はい―――それはもちろん……」

(ムヒョ?)「あれれ~?私は『失礼のないように』―――としか、聞いていませんですけど?」

「私も……そう言う風にしか聞いていませんが―――」


             援護射撃―――ゼロ



あ・れ……?


「ほ・ほ・ほぉ~~う?」

「まあ……、『笑って』はいませんし、『呆れ』てもいませんですけれど~~~」

「『つまんで』しまいましたのには、私達の過失だったと思います―――」


まず……い、が来る―――


「ちゃあんと伝えておらんでわないかあ~~~!」

「ぎぃやあああ~~!お、お、お赦しをぉ~~!!」


「(なにまたコントを見せられてるの?私達―――)」

「(情報をちゃんと正確に伝えていないから、こうなっておしおきされてしまうんですよッ☆ まあ~自業自得と言うヤツですねッ☆)」

「(両目負傷してる私には何も見えないんですけど……ナニが起こってんの?)」

「(公主さんが女媧さまから“突きの嵐”を喰らわされている処です☆)(ム・ヒ)」

{(そういう面白場面が見れないなんて……私ゃ得してんだか、損してんだか……)」

「(最近、公主……アンジェリカはあなたに接近し過ぎていましたからね、このくらい当然よ。)」

「(は? ナンダソレ?)」

「(なっ―――なんでもないわよっ!)」

「(あんたがどう思ってるかは知らないけど……最初に公主様に相談持ちかけたのは私なんだよ、そりゃあ~私達問題解決出来るんだったら、こんな事にはならなかったんだろうけど…私達難しい―――そう思ったから『上の人』を頼ろうとしただけだよ、だから無闇な嫉妬は公主に対して失礼なんじゃないかと思うんだよ。)」


事実シェラザードは自分の王国を再建たてなおす為に〖昂魔〗以外の派閥からの援助を望んでいました。 そうした中で竜吉公主から援助の話しが持ち上がってきた…けれど公主本人からは“本音”は語られず、どころか……本題にすら入らないまま立ち消えになろうとしていた―――そこで『王国再建』立案者本人が、エルフ族自分達が所属する派閥の“おさ”に直接話を着ける……事となっていたようですが、どこでどう話の筋道を踏み違えてしまったのか、現在“遠回り”中―――


そしてようやく……


「先程は無礼な事とは知らず、まことに申し訳ございませんでした―――まさか〖聖霊〗の“おさ”がこんなんちびちゃくなってるなんて思わなかったもので……」


            ――ちくっ☆――


「(イタッ!)もおぉ~~~勘弁してくださいぃ~~」

「全く……そちは昔から“出来る子”じゃったが、どこか抜けておる処があったからの~~う。」


   ――ちくっ☆――   ――ちくっ☆――   ――ちくっ☆――


「もおぉ~~~すみませんてばあぁ~~~」(泣きべそ)

「それ―――で?われに何用ぞ、我が眷属の子よ。」


“自称”ちゃんの時はお道化ふざけてたていを装いながらも、【“水”の神仙】の時には実に頼りになる人―――だと思っていただけに、たった一度の失態ヤラカシでここまでいぢられてしまうとは……


それはそうとして―――の、ようやくの本題……

シェラザードは〖聖霊〗の“おさ”にも、自分達四人で計画をした行動指針を話し、ここに〖昂魔〗〖聖霊〗からの援助の確約は成ったのです。




つづく



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