住処ー拝啓、Vになりました 

@dandandadandan

短編Ver.住処



※小説カキコ、でも同様の投稿を行っています。

※この話はフィクションです。ですが、これがきっかけでVにも興味を持ってもらえれば。機材とかには詳しくないのでそこらへんは想像です。





『住処』


 家が私の住処。私は家が住処だ。小さい頃からネットとかそういうのには詳しい方だったし、小学生にして通販で買い物もしていたし、家族は淡白な態度ではあったけど、そういうのは「今後も生きてて役立つことだから」って、ゲームもそうだけど、そういう文化に対しては結構緩くて。

それが幸いして、私は今、配信者として。ただし、顔出しはせず、バーチャルの肉体を利用して配信活動をしているVtuber、またはVライバー、というやつだ。

最初は一人暮らしでバイトはしてたけど、趣味はゲームくらいしかなくて、でもVの配信自体は見ていて、そこでオーディションがやってて応募したら、受かって。

そう、つまりは企業勢、というやつである。専門学生としてデザイン系の学校に通っていて、それもあってきっと合格したのだろうか。真実は分からないが。

 始めたころは慣れていないこともあって、配信をやりとげることに精一杯になっていたが、最近はようやく慣れてコメントをちゃんと読んで、配信ペースも安定してきていると思う。

 通っている専門学校もいつも通り通学して学んで帰宅して配信してって。。

 さて、今日も配信するか。今日はあのゲームをやりたいと思っていたんだ。


「はい、プリンププロダクション所属―、V(バーチャル)ライバーとして活動させてもらっている天原です」


 プリンププロダクション、というのは私が所属している企業であり、そこに所属しているライバーはアイドル系だけでなく、私のような普通の子もいる。

どっちかと言えば、上はアイドル系を推していきたい方針らしいけど。

最近なんて、オリジナル曲はアイドル系のライバーに提供していたり、3D実装もそっちを優先しているような気がするが、これは気のせいだろうか。

 そんなことをぼんやり考えながら、目の前の画面に表示されたゲームを眺めてはこめんとをしていく。誰かと話すことは苦手なのに誰もいない空間でこうして話すことが得意なんてどうかしてるであろうか。

チャット懶には誰かもわからない誰かがコメントしていた。本来ならスパチャという投げ銭もここでは投げることができるのだが、そういうのが問題ないゲームなのか調べるのが面倒な私はスパチャをオフにして配信を始めている。

それで何だかんだその設定のまま他の配信をすることもしばしばでいつだか配信のアーカイブのコメントにスパチャさせろ、って書かれてたこともあった気がする。

アイドル系の子たちはこういうのもやるが、歌枠や雑談枠も多いからよくスパチャされてんな、と思っている。メンバーシップもやってるし、相当大変だろうに。

 目の前で映し出されたゲームをぽつぽつと話しながら進めていく。今回やっているのはホラーゲーム。私の配信の中でもゲーム、その中でもホラーゲームがメインとなっている。

というか、そもそも私はFPSに苦手意識があり、配信自体はするが、なかなかやらないという状況である。Vの中でも流行っているから上を目指すとかならやるべきなのだろうが。

ホラーゲームは敵と遭遇、対策が取れれば本人の努力でクリアできるゲームだと思っているから、FPSと違って私にとっては手が出しやすいのだ。

なんて、考えながら配信はして、ゲームは終わって、配信を切って。すると、一件の連絡が来ていることに気づいた。

同じ事務所の俗にいうアイドル系でやっている「天野唯香」からの連絡だった。前にもコラボしたことがあり、そのときには二人とも名前にあま、とつくから「あまあまコンビ」なんてハッシュタグをつけられていたそう。この天野さんは私より少しだけ先輩だが、ゲームは正直上手いとは言えない人だ。


天野唯香:あまちゃん、今度コラボで何かゲームしない?


 あまりにも漠然としたメッセージだった。でも、この人、前々からそうだったのだ。

もうそれが彼女なのだろう、とこの漠然さに諦めをつけていた私は返信として

「今、よさそうなゲームを探してみます。サシでのコラボを希望してますか、大人数でも大丈夫ですか?」

 と、天野さんに丁寧な文面を送った。この人から友達感覚で連絡されている気がする。

先輩なので、それ以前に私は誰かにズバっと意見を言うことがそんなに得意ではないので本人が苛つかないように、そうさせないようにこちらが丁寧に接することを心掛けているのだが、現実の社会ってこんなものなのだろうか。

 そして、気づいたらもう一件。これは私から連絡した別の事務所で活動されている「アザミ」さんからの返信だった。

アザミさんは20代後半の女性であり、あっちの箱ではチャンネル登録者もかなり多い方でよくやるゲームは恋愛もの。基本的にストーリー性のあるゲームが好きで本人は怖いものは得意ではないのにフリーホラーにも手を出していて、その時のリアクションが可愛いとよく切り抜かれているのを見掛けていた。

「それ、やってみたいかも。ちょっとスケジュールの確認をする……」

 しかし途中まで文面を確認していたところで天野さんから再び連絡。「最近入ってきた子たちも先輩も誘えたらいいなっておもってるんだけど、あまちゃんって後輩ちゃんに詳しかったりする?」

 自分でまず調べてくれ、と言い出しそうになったが、何とか喉元に留めた。プリンププロダクションは少し前にキャラ有りも含めたオーディションを行っていた。

こういう界では前世なんてものは当たり前という世界なのだが、そうなると私はイレギュラーになるのだが、今回は常設のように経験者のみ、ではなく、誰でも条件に当てはまれば応募可能、ということで倍率が結構だったと噂には聞いている。

結局、キャラ有りで合格したのが当初の予定通り3人、それ以外で4人が合格したそう。一気にこんなにデビューさせるのか、と思ったが、キャラ有りの三人はその見た目のままアイドル路線で売り出して、残りはまだ調整中らしい、という噂もある。

実際、たった一か月前にキャラ有りで合格した子たちは初配信を終えており、既にそれぞれらしい活動を始めている。天野さんが誘えと言ったのはその子たちのことだろう。

 まず、清楚でキュートなビジュアルが特徴の「姫野るる」。初回配信では、名前とその見た目通りのおっとり、ふんわりとした声だったのを覚えている。

その後は英語も堪能らしくゲーム実況する際には日本語と英語を交えながらやっていて、切り抜きによると外国人にもウケがいいらしい、という。

この子に関しては、キャラでああいう雰囲気というよりガチでああいう子なんじゃないか、と思うくらいにおっとりで言葉遣いは丁寧でやるゲームも対象が女児向けのものが多い。

本当にああいう子だとしたら、どうやって絡めばいいのか迷う……ぞ?

 同じ日、姫野に続いて初配信を行ったのはクール系でアイドル、というよりモデルさんのほうが似合いそうな黒髪ロングの美人、「小野沙耶」。初配信では、姫野と打って変わりやや低い声で落ち着いて話していたし、自分のことについて話すのは私と同じように苦手なようだった。

初配信こそクールに決めていたが、そんな彼女が気になってこっそり配信を何度か覗いていたのだが、彼女、想像以上にゲームが苦手で唯一できるのはオリマカートだけだった(それも人並み程度で決して上手いとは言えない)。

今回、誘うのはなんか怖いかもしれない。

 最後に公開されたビジュアルがまさかの無表情で小脇にペンギンを抱えた「スズザメ」。こちらは姫野と違って韓国語と中国語が話せると初配信では言っており、流暢な挨拶をかましてみせた彼女だが、彼女はよくわからない。

彼女たち、揃いも揃って見た目通りのムーブをしている。スズザメはゲームに夢中になるとねこ、とかにゃー、とかやたら猫になりたがっていた。小脇のペンギンも一部の視聴者によると時に表情を変えているというし、彼女のやっているゲームは毎回よくわからない。

たぶん、変人というやつだ。ちなみにこれについて本人に聞いてみると、

「不思議ちゃんではなく、変人。そう言ってくれたのは海女さんが初めてです」

と、一見律儀な返信が来たかと思ったが、人の名前をちゃんと間違えていたし、この件以来妙に気にいられたのか、よく謎の報告をされるようになった。

例えば、朝ご飯はこれを食べました、とか今日の気分を文章に送ってきたり。

切り抜きでスズザメを見つけたかと思えば、まだコラボすらしていないのにあまさんと仲良くなったとふんふんしている彼女がいた。あまさんってそういえば呼んでたし。


 誰を進めても正直わからない。それに先輩なら誰を誘うのか考えなければならないけど、たぶん天野さんはそういうのは考えてなさそうだし、後輩である自分が色々考えて交渉した方がよさそうだ。

そんな頃にまたスズザメから連絡がきた。「あまさん。今度、人、殺しませんか?」

いや、怖いわ。

だが、マルチプレイできて初心者にも優しくできて、私がよくやっているゲームがあったことを思い出し、天野さんにこのゲームやりませんか? とひとまず文面を送ることに成功した。スズザメもいい機会だから誘おう、と悩みの種になりそうなことが少し楽になり、まずはアザミさんに返信をして、天野さんの返信を待つことにした。

休日、部屋に閉じこもって何をしているんだろう。スズザメも休日に何を送ってきているんだ、と感謝しつつも二度ツッコまずにはいられなかった。

 アザミさんの文面を確認し、コラボ日はこの日にしよう、そしてこれをこんな風にやるという打ち合わせをこの日に、という段取りを相談させていただいた。

スズザメはこの間にパブリックドメインのコアラの画像を送ってきてたし、返信が返ってきた天野さんはちょうど配信をしているとYooTubeで確認した。

 ゲームを調べてやりたいことをまとめていたら、もう夕暮れ。橙の空が徐々に黒く染まっていくのをぼんやり見ながら、最近の流行りとやらを聞いていた。

この活動をしてからぼうっとすることが増えたような気がする。気のせいか。

 夕ご飯は自宅で簡単に済ませ、お風呂にも入った。歯も磨いたら、先輩の配信を見ながら、誰を誘おうか考えていた。

ゲームセンスだけで言うと「日野森雫」さんはどんなゲームでもやるとなれば平均、あるいはそれ以上になってコラボに参戦してくる先輩だから、頼もしい(そもそものプレイも上手いのだが)。

ただ、天野さん、スズザメというアイドル路線ではないので彼女たちとの絡みもなく、黙々とゲームをするタイプなので天野さんとの波長が合うのか正直不安な面はある。

スズザメは……まぁ、何とかなりそうだろ。

次に考えたのは天野さんが仲のいいアイドル路線の「スズカ」さん。

ゲームの実力は人並みだが、天野さんとは間違いなくうっきうきで話してくれるだろう。

ただ、絡みのない私、スズザメが介入できるのかが心配だ。スズザメはあんなんだからいけるだろうが、私はうーむ。

 天野さんはまだ配信中にも関わらず、更にこんな風に言う。

「あの人と絡んでみたいなぁ、悠月(ゆうづき)まろ先輩と」

 悠月さんは自他ともに認めるお色気お姉さんである。しかも、配信してる時の大半は寝起きだったり、眠たかったりとまともなコンディションでやっていないのだが、それが逆に受けている、というかエロに魅かれただけだろう。

ゲーム配信もしてなくはないが、してたのは恋愛系ばっか。ゲームできる環境なのかもわからない。そもそも、配信中にBANされそうで怖いんだが。

 そんな天野さんの言葉をもう無視し、先輩方の個人的な印象と今回はスズザメを後輩枠として呼びたい旨、つまりは諸々を伝えさせてもらった。

もう疲れた。天野さんの返信を待つことなく、私は眠りに入った。

 今日も休日。朝6時。配信者なのに健康的な時間に起きた。欠伸をして、うがいと洗顔をすると今日は昼か夜に天野さんとやる予定のゲームを配信するツイートをして、朝ご飯を作って食べることにした。生きている、ただそれだけで今日もスズザメのメッセージが届く日々。やっぱり、スズザメは変。

 昼頃、天野さんの返信にようやく気付くと、天野さんはスズザメを参加させたい、ということ、誘うなら強そうな雫先輩と敢えてのまろ先輩でどう? とのこと。

今回は天野さんがきっちりと決めてくれたこともあり、先輩方とスズザメへの交渉は私がやります、とついつい名乗り出てしまった。流れる桃にどんぶらこ、やってきた船頭に身を任せる。天野さんはその私の勢いづいた返信にそれじゃあ反応あったらよろしく! と、

にっこり顔文字を文末につけてきた。なんか、苛つく。

 それはともかく、コラボ経験のある雫さん、なんか気に入られたスズザメ、コラボ以前に話したこともろくにないまろ先輩にそれぞれメッセージを送信すると、スズザメから秒で返信が返ってきた。尚、スズザメ、現在配信中。やっているのは今回はテトリッス。

あ、開幕TSDしてる。

 あと、まろ先輩。「あ、初めまして。悠月まろでs。たまたmおきてたからはあやくへんしんできた。にうs、でhでkl;sいいよkd、いつにすr。」うん、読めないです。

 雫先輩は「まろさん早めに起こさないとコラボちゃんとできないってまろさんが前に話してた時に言ってた。あと、スズザメって子、変なゲームばっかしてるから配信を見てることがあるんけど、毎回「あまさんがぁ~」って話してるんだけど、そんなに絡んでたの?

それはともかくコラボしたいってのはわかった。やってたことはあるけど、久しぶりだから少し腕慣らしてから参戦したい」おい、スズザメ。

 まろさんには再度読めるような返信を、と送信したら、通話を掛けられた。何でそうなる。

そして、話してるのも正直よく聞き取れない始末。ちゃんと起きてから返信、通話をしてください、と伝え、通話を切った。

 休日、穏やかな朝食を9時に迎えた日曜日、スズザメがコラボしたいです、と送ってきた昼。私は配信は夜、とツイートし、趣味であるお絵かきを楽しむことにした。スズザメのメッセージは無視したまま。

 夜。


「はい、プリンププロダクション所属―、V(バーチャル)ライバーとして活動させてもらっている天原です。

今回はいつもと違ったゲームをやります。まぁサムネ見て気づいた人もいるんじゃないのかなって思うんですけど……」


 と話していると、チャットがなんか騒がしいと思ったら、やせいのすずざめがチャットにいた。返信して、あまさん! と。おい、スズザメ。


「スズザメ、私欲をチャットに流すな」


 そう言うとスズザメは、あとスパチャをいい加減させてくれ! と視聴者みたいなことを言い始めた。


「それはスズザメじゃなくて視聴者が言うことなんだよ、ってともかく学校ダンディーの無印、プレイしていくのでよろしくーと」


 スズザメは最後に無視なんてひどい、ぴえん。と言い残してどこかに行ってしまった。

コラボもしていないのにこんなに仲良い(とこの人たちは思っているらしい)二人を見たチャットはしばらくして落ち着いたが、ふとファンアートタグを検索してみると、

私とスズザメのものが大量に出てきた。なんでや。

 配信終了後、スズザメがコメントもしていたらしいという切り抜き動画があった。切り抜くのが早すぎるし、スズザメは本当に何をしているんだ。


 それから1か月。私がデビューして半年が経過しようとしていた。まだ半年なのに随分と色濃い日々だったように思える。

こういうとき、基本的にライバーというのは記念配信をするらしい。のだが、どうしてもか? と思い、投票機能を用いて皆の意見を求めることにした。

結果、やれが半数以上を占めたため、「やれ(大多数)→やります」とツイートして、

半年の日、夜に枠を取ることになった。そのツイートに対して、スズザメが「配信決定感謝」と6文字で引用リツイートしていたという。さては厄介オタか?

 

「……配信、始まったね。えー、こんばんは。プリンププロダクション所属―、V(バーチャル)ライバーとして活動させてもらっている天原です。

今回、活動を始めてから半年が経ったらしいです。ということで記念配信をやります。今回はついでにチャンネル登録人数が24万人を突破したらしいです。まぁ、こういうことで記念配信をすると。珍しくスパチャオンにしてます。読むかは分からないけど、まぁ投げたければどうぞ、ってことで」

 と、こんな風に。スズザメは最初からチャット懶にいたらしくスパチャも投げていた。今回の配信内容はいつも通りただ話すだけだったが、それがまたらしさというものだろう。

普段配信委は現れないような先輩もいたらしく、早すぎる切り抜き動画を見ながら、またいつもが始まるのか、となった。そんな今日、25万人も迎えた。

 Vライバーでよくあるコンテンツというのが、「ボイス」である。例えば、こういう行事に合わせたボイスを販売しよう、今回はこのライバーに焦点を当ててこういうシチュエーションで販売しよう、とか。他にもこの人たちのボイスを購入すると限定の壁紙等が付属しますよ、とか。何でもである。

プリンププロダクションでもボイス販売を実施しており、ライバー本人への収益率としてはスパチャよりこっちのほうが断然いいため、ボイスをブーストする、つまりライバーに金が届くように一つで十分なボイスを複数購入すること、する人もいるらしい。

だから、まぁやる人はやる。というか、ここに入ってきた人の中には元々声を使うことを夢見てた人、歌い人、実況をしていた人がいるのだから、こういうのを前世と呼ぶらしく悲しいことに中が割れている、またはこの人ではないか、と予測されている人がいるのも事実である。うちの事務所ではないが、他の事務所のとある男性ライバーさんは同じ界隈の人が買っていたり、売り上げが毎回上がっていると話していたし、普段の配信発動と打って変わった距離感でやる人、今まで通りの距離感でらしさを出す人など分かれていて、自分は人のをあまり購入するわけではないのでわからないが、ツイターでフォローしている人たちがRTするボイスに関する感想を読んだりすると、凄い人もいるもんだな、とバカみたいな言葉しか出せない。

 デビューして半年ほどが経過して、私もようやくボイスに手を出すことに決めた。買う方ではなく、出す側である。

ということで一切関わりもない他の箱のボイスが凄い人にいろいろ教えてほしい、と打診することにした。

結果、その人は見た目に合わずノリのいい人でこの話にすぐ乗ってくれたし、どうせなら他の人も呼ぶ? と持ち掛け、この人ならこうだからと呼んでくれることになった。

 数日後。コラボ配信の枠は持ち掛けてくれたからと私の枠で行うことになり、他事務所とのこういうコラボだったこともあり、やたら人が多かったらしい。(同接が多かったらしい)

ボイス、むっず。と思いながらも、いろいろと学ばせてもらった。

配信中に今度録ったの聞いてください、と言うと、聞いてくださいなんて珍しい人だね、と言われた。本当に送ってみたら、本気だったんだ、と言われた。何も悪いことしてないけど、やらかした気分になったが、その人はちゃんとアドバイスをくれた。

 ボイスを販売した。シチュエーションボイスでジャンルは「花火大会」。他のみんなも販売していたが、自分が出すのは初めてで視聴者に言われてボイス専用のハッシュタグも作った。

 雑談配信時にこのボイスについて詳細を聞きたい、と視聴者が言ってきた。


「天原のボイスってどんな感じ?」

「天原がボイス出すなんて思っても見なかった」

「天原ってそもそも外でなさそうだけど、このボイスだと行ったの?」


 中には人のことをそんな風にいじってくる奴もいたが。


「恋愛要素はなくて、暗い話とかそんなに得意じゃないからそういうのは取り入れていないから、まだ聞きやすいんじゃないかな。今後もボイス出すってなったら、恋愛要素は苦手だからやらない。今回は花火大会ってことだけど、自宅で視聴者一人一人と話しながらって感じ。外、嫌いだからね」


 そんな風に言うと、やっぱり、とか言うコメント。殴りてぇ。

でも、中には


「天原のボイス買って聞いたけど、初めてであんなクオリティーとは思わなかった。

前のあの人たちとのボイスの配信のおかげ?」

「俺んとこの花火大会の時にまた聞いてみる、って感想送っとく」


 なんて、意見もあった。ありがてぇ。

 そんな雑談のボイス一色の中、誰かがそれを切り裂いた。


「天原の視聴者の男女比ってやっぱ男多い?」


 Vライバーにはキャピキャピいた女、イケメンで売っている人、おじさんなど色々いるが、Vだからかどうしても男女比では男が多いというのが普通である。

ちなみに自分はそんなことに興味もなく、確認すらしていなかったのだが。

なんか、むかついたのでこうすることにした。そのコメントを読み上げた後、


「ライザップならぬジョシザップするか、女性視聴者増やすか。そういう企画、建ててこよう。その前に今どんな状況か後で報告するけど」


 てか、ジョシザップって何やねん。







※学園ダンディー

学園ハンサムをイメージ

※チャンネル登録者について

このプリズムプロダクションはV企業の中でも1,2を争う企業という設定にしています。

企業勢、箱が元から人気からある、という前提で見てもらえると助かります。

※ボイス

ホロは知らないが、にじではやっている。BOOTHで購入し、自分がよく見ている人はボイス売上が右肩上がりらしい。



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