ひとりのきみへ

ひとりのきみへ

いまひとりのきみへ


きみはいま

カビ臭い部屋の片隅で

ひとり縮こまっていたり

空になった度数の高い

缶チューハイの模様を撫でて

現実感のない眼でもって

世界から離れているんだろう


ひとりのきみへ

いまひとりのきみへ


きみはいま

今日あった嫌なことや

言いようのない重圧に

こころを支配されていて

まるで暗い檻のなか

逃げ場がないと感じているね


ひとりのきみへ

いまひとりのきみへ


ぼくはいま

大丈夫なんて言わないさ

寄り添うこともできないよ

ただできればあと数時間

待ってて欲しいと思うんだ

眠たくなければ寝なくていい

ただ歯を食いしばって

あと数時間待ってて欲しい


それだけで朝はやってくる

一日生きたことになる

それをただ繰り返すだけで

季節は四度変わるんだ

笑えるだろう

笑えばいいよ


ひとりのきみへ

いまひとりのきみへ


いまに支配されたきみへ

明日の話をしよう

いまこの夜をひとつ越えて

明日またここできっと会おう

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