第94話 逃亡者、試行錯誤する
僕は女王様をただのエルフのエメラムルさんにする為に、可能性があることを試してみる事にする
「それはお願いしたいことですが、どうやるのかお聞きしてもよろしいですか?」
女王様は僕に聞く
「すいませんが、それは言えません。僕のスキルを使うとだけお教えできます」
僕は試す事を教えることはしない。持っているスキルで可能性があるのは偽装と改変の2つである。
どちらも簡単に教えることは出来ない
「そうですか…」
女王様は心配そうだ。
「僕は女王様がこのまま女王のまま里に残るのも自由だと思っているので、やり方を言わないといけないいうのならこのまま帰るだけですが、どうしますか?」
なりたくてなったわけではない女王という枷のせいで、自由に生きれないこの人が可哀想だと思っただけで、エルフの里がどっちに転ぼうかどっちでもいいのだ。
「いえ、すみません。お願いしてもいいですか?」
「わかりました。やる前に1つだけ聞きたいことがあります。エミルはどうするつもりですか?連れて外に出たとしても、残念ながらエルフにとって住みやすい環境ではないと思いますよ」
「連れていきます」
女王様は答える
「自給自足の里の暮らしとは生活が根本から違いますよ?それに悲しいことですが、人の街にエルフが受け入れられない可能性もあります。その状態でエミルを育てることはできますか?」
「……難しいことは分かっています。でもエミルを置いていくという選択肢はありません。何をしてでもエミルは育てます」
女王様の意思を聞いて僕は安心する。
苦労はするだろうけど、その為に子供を置いて行くと言うのであれば手を貸すのはやめるつもりだった
「安心しました。それじゃあ試してみます」
僕は女王様に改変を行う。
職業が[エルフの女王]でなくなればいいのだと僕は思った。なので改変で職業を変えてあげればいけるのではないかと思ったのだ。
問題は改変についてはよくわからない所が多い。
色々試して職業を変えれることは分かっているけど、果たして女王の職業も変えることが出来るのかどうか……
結果的に職業を変更することは出来た。
僕は[エルフの女王]から[魔法使い]に変更する。
魔法使いに意味はない。勝手に自分に合った職業に変わるのだから
「魔法使い]に変わったはずなのに、少ししたら[エルフの女王]に戻ってしまった
僕はもう一度職業を変える
もしかしたら関係ない職業にしたのがまずかったと思い、今度は[母親]にしてみた
やっぱりすぐに[エルフの女王]に戻ってしまった
やっぱり一瞬でも変わってはいるので、改変が出来ていないわけではないようだ。女王を決める謎システムがエメラムルさんを女王に指名し続けているのだと思う
「女王に選ばれるエルフに基準というか、特徴はありませんか?前の女王はどういう人でしたか?」
「……先代の女王様は規律に厳しい人でした。私とは性格も似てませんでしたね」
僕は謎システムにも効果があるのかはわからないけど、女王のステータスを偽装で適当に弄ってみる
この状態で改変してみる
やっぱりダメだった。
僕は力技に出る事にする
「長老、次のエルフに相応しい人っていますか?好戦的でない人がいいですけど」
「この者に任せたいってものは特にはいないな」
「であれば、やりたそうな方を何も説明せずに連れてきてもらえませんか?」
「次の女王を選べるのか?」
「選びたいわけではないのですが、そうすれば出来るかもしれないだけです」
「わかった。少し待っておれ」
長老は部屋から出ていき少ししてから戻ってくる
若いエルフの女性を連れてきた。エルフなので本当に若いかは見た目ではわからないけど……
女性は何で女王の部屋に連れて来られたのが分からずビクビクしている
「この方でいいんですか?」
「私の孫娘だから何かあっても大丈夫だ」
長老は身内を連れてきたらしい。いいのかどうかは別として、これでうまくいけばエルフの中で意見は分かれにくくはなるか。
「え?私なにかされるんですか?」
失敗した場合、今回のことは知っている者は少ない方がいいので、僕は彼女を無視して進める事にする。
まあ、これで上手く行った場合は何度でも女王を入れ替えることが出来るということなので本気で嫌がったらその時に考えよう
まずは彼女の職業を[裁縫士]から[エルフの女王]に変更する
あれ出来ないな
同時に2人は存在出来ないのかな?
それなら偽装でエルフの女王にする
その上で女王様の職業をエルフの女王から変更する
まあ、ダメだよね。
思いついている案はあと2つ。1つは最悪の場合に結界が消えるかもしれないのでやりたくない。
僕のステータスでゴリ押しする方法ではあるけどリスクが高い。
僕は女王様の職業をまずは改変で変更する。そして[エルフの女王]に職業が戻る前に長老の孫の職業を[エルフの女王]にする
お!長老の孫の職業を[エルフの女王]に変更できた。
元女王様の職業を確認すると[異端者]になっていた。
「……。」
僕が改変したのは[母親]なので、これは僕の仕業ではない。この世界の謎システムがこの人の職業を異端者と認めたのだ。
[妹]といい[逃亡者]といい職業欄を決めている何かがふざけているようにしか思えない
とりあえず、女王ではなくなったので成功ではある
「エメラムルさん、成功しましたよ」
僕はあえて名前で呼ぶ。もうただのエルフなのだから
「……ステータスオープン」
エメラムルさんは驚き、不快そうな顔をした。
長老も鑑定で見たようで驚いている
「ありがとうございます。しかし、この職業はどういった事でしょうか?自覚はありますが流石に……」
エメラムルさんに言われるがそれは僕のせいではない
「それは僕の仕業ではありません」
僕はしっかりと否定する
少し待っても女王に戻らないようなので大丈夫だろう
状況が飲み込めていない人への説明は長老に任せるとしよう
「長老、そちらの説明は任せていいですか?」
「任せてもらって大丈夫だ」
「それなら、全て解決したということですよね?約束通り魔王城への行き方を教えてください」
「ああ、もちろんだ」
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