クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業［逃亡者］が無能だと処刑される

第37話 逃亡者、お姉さんと対話する

僕はお婆さんを鑑定スキルで視る事でやっぱりめんどくさい事に巻き込まれたなっと思う。ただ最終目標である地球に帰るためにこの人はキーパーソンになるだろうとも思った。

話したいことは出来たけど、どこまで突っ込んでいいのかわからない…

慎重に話を進めないといけないな。信用するのはマズイかもしれない。

「ミハイル様はゲルダ様の事をどこまで知ってますか？」

僕はミハイル様に尋ねる

話をする前にミハイル様がどこまで関わっているかは聞いておく必要がある

「…それはどういう意味かい？」

「そのままの意味です」

「全て知っていると言いたいけどね、ゲルダ様が隠していたらわからないよ」

それもそうか

「とりあえず、変装を解いてもらうことは出来ますか？無理にとは言いませんが」

ミハイル様は執事の顔から青年の顔になる

僕はミハイル様をジッと見る

「冗談だよ。そんな目で見ないでくれよ」

ミハイル様は、ゲルダ様にアイコンタクトで確認をとってから変装を解除する。

ゲルダ様の頭から獣の耳が生える

僕はそれを見た後、ミハイル様に尋ねる

「ここまでですか？」

これはミハイル様も予想していなかったようだ。動揺している

「ミハイル、構わないよ」

ゲルダ様に言われてミハイル様が慌てて変装をさらに解く。

ゲルダ様の見た目が若返る

「騙してたみたいで悪かったね」

ミハイル様に謝られる

「いえ、大丈夫ですよ」

「…ゲルダ様と呼んだ方がいいですか？」

僕はゲルダ様に尋ねる

「……この子はどこまで気づいてるのかしら？どこから漏れるかわからないからそのままでお願いするわ。ミハイルも知ってるからそこは気にしなくてもいいわ」

「…ちなみに冒険者ギルドのマスターもご存知ですか？」

「あの坊やにはこの姿は見せてないよ。獣人って事だけだね」

「なるほど、わかりました。僕もこれで聞きたい事が出来ましたが、先にゲルダ様の要件を聞いてもいいですか？」

先にどこまで話してくれるのか聞いておいた方がいいだろう。

「…わたしの姿を見ても驚かないって事は知ってたのかい？」

「それについては後程でもいいですか？失礼ですが、僕の事をどこまで話していいのか迷ってます」

「まあいいだろう。君の信用を得るために努力するとしようか。まずはわたしがここにいる理由だけれど、今の獣人が虐げられている状況をどうにかしたいからだ。幸いそこにいるミハイルも同じ考えをしてくれていたからね」

「僕も最近知ったばかりですが、どうにかしたいと思っています」

「そうか。それは良かった。あとはわたしの主人の意向でもあるが、今の乱れた世界をどうにかしたいと思っている」

「…主人の事を教えてもらうことは出来ますか？」

「どうせ正体は気づいているんだろう？」

「ええ。一度話をしてみたいと思っていました」

「わたしの一存では決めれないけど機会があれば話を通しておこう」

「ありがとうございます、その時には是非」

「では、そろそろ君の話を教えてもらっていいかい？」

「僕が聞きたい事はあなたの主人についてです。その前に全ては話せませんが、まずはゲルダ様が知りたいことはお答えします」

僕はゲルダ様をある程度信用してしてもいいと判断した。

「では、さっきも聞いたけどわたしのことを知ってたのかい？」

「いえ、知りませんでした。僕は相手の変装を見破るスキルを持っていただけです」

僕は少しごまかす。

「それは鑑定かい？」

僕は目を見開く。

「…ええ。そうです。他の人には内緒でお願いします」

「もちろんだとも。鑑定が使えるならわたしのことがバレてもしょうがないね。」

「ええ、会ったときに勝手ながら鑑定させてもらいました。流石にあなたの役職にはびっくりしましたが」

「君はこの世界の人間かい？」

ゲルダ様の顔をみて観念する

「ええ、違いますよ。他の世界から来ました」

「最近王国が召喚の禁忌を犯したって聞いたけど本当だったんだね。なんで君はここにいるのかい？王国がみすみす手放すとは思えないんだけどね」

「王国には僕の本当の力は隠していました。国王の邪魔をしていたら無能だという理由で処刑されましたよ」

「…生きているように見えるが？」

「僕もミハイル様と同じ様なスキルが使えるんです。王国は僕が死んだと思っていますよ。一緒にいたミアも王国では殺された事になってます」

僕は一度自分をミハイル様に偽装して、戻る。

「こんな感じですね」

「これは驚いたね。変装よりも上位のスキルみたいだ」

「僕の生命線にもなりますのでこれ以上は話せません」

「そうかい。魔王様に用事ってのはなんだい？」

やっぱりこの人の主人は魔王だよな。だってこの人の称号に［四天王］ってあるし。

「王国で魔王を討伐すれば元の世界に帰れると言われました。それを鵜呑みにしているわけではありませんが、何か知っているのではないかと思いまして」

「その話が本当だとしたら魔王様を殺すのか？」

ゲルダ様の周りの空気が変わった気がする

「魔王様に会ってみないとわかりません。ただ、自分の目的のためだけにいきなり殺す事はしません」

「そうかい。ならいい。召喚されたのは君だけか？」

「いえ、後30人が王国にまだいると思います。その内の5人は僕が生きている事を知っていて王国に不信感を覚えています。」

「残りの者は？」

「どう動くかわかりません。出来れば助けたいですが、王国を信じている場合は難しいかもしれません」

「なるほど、大体君の状況は分かったよ。わたしもすぐに動くわけではないからね。その時がきたら協力して欲しい」

「僕に出来る事なら協力しましょう。僕も協力をお願いすることがありましたらお願いします」

「ああ、もちろんだとも。できる限りの協力を約束しよう。ミハイルもそのつもりで力になってやってくれ」

「かしこまりました」

ミハイルさんも力になってくれるそうだ。

「ありがとうございます」

僕に心強い味方がつくことになった